M-1 "lronside (Quincy Jones) 05:24"
このメロディーを知らない人は少ないでしょう。映画「Kill Bill」でも使われたインパクトのあるブラスから始める曲です。
最近DIMENSIONのロック風味に飢えていたので、その飢えを満たしてくれました。イントロとテーマが勝田さんの音色に良くマッチします。BメロのGとSaxのユニゾンが「いかにもDIMENOSIONだ」という音です。M-1ということもあり、またリフが多い曲でもあり、全員がソロを取り回します。私は小野塚さんのソロが好きです。どうやらローズを弾いているように思えます。
M-2 "Walking on the Moon' (Police) 06:06 "
増崎さんのアコースティックギターがメロディーとソロを取り、ソプラノサックスがそれにからみます。シンプルな構成の中で曲は進み、最後はリバーブが強くかかったピアノのソロと一緒にフェードアウトします。ギターをフューチャーしていると考えて良いでしょう。
M-3 "Respectacls (Original) 07:04"
最近のDIMENSIONの一つの方向性である、ダークなアシッドジャズです。イントロのハイハットの刻み方が印象的です。打ち込みを前面に出したリズムに少し重めのローズの和音が馴染みます。ベースもわざと打ち込みを強調しています。最後フェードアウトで終わると思いきや、Saxのハモり(多重録音)ですっと綺麗にまとめてくれました。
M-4 "Dancer in the Light (Original) 05:29"
Nudistic、Jangle Dancer系のポップで明るい曲です。Saxも明るいソロを取ります。Nudisticを初めて聞いた時のような衝撃はありませんが、小気味の良いポップなフュージョンです。Gのバッキングが聴き所かもしれません。Gがソロを取りながら、曲はF/Oで終わっていきます。
M-5 "Good-bye My Lonliness' (ZARD) 05:20"
私はオリジナルの曲を聴いたことがないので、変化の様子は分かりません。ソプラノサックスがメロを取ります。メロディーが前面に出る曲のインストでのカバーは「歌のない歌謡曲」になりがちですが、4分を過ぎた頃にソロ的な旋律が流れ始めます。(聴いたことがないのに) 原曲を尊重している印象を受けます。
M-6 "Southside on Oneseventeen (Original) 05:31"
1980年代のLAサウンドを彷彿させるさわやかなフュージョンです。肩を張らない感じが嫌いではありません、というより好きです。2分を過ぎるとドラムに合わせてギターのソロが始まります。速弾きではないけれど音色も旋律も気持ちの良いソロです。さっと弾いて、あまり引っ張ることなくテーマに戻り、Keyにソロを渡します。今までのローズより軽い音色でのEPソロの中、曲はF/Oしていきます。
M-7 " 'Wonderfull Tonight' (Elic Clapton) 04:34"
クラプトンがバラードっぽく仕上げたこの曲を、DIMENSONは敢えて8ビートで音圧の高い録音に仕上げました。アルミ系のスネアはDIMENSIONではあまり聴かないので、かえって新鮮です。敢えてソロらしいソロを演奏せず、メロディーと裏メロをメインに曲は進行し、そのまま決めもクラッシュもないフィニッシュ迎えます。DIMENSIONの演奏に対する予感を、わざとあちこちで裏切り意外性を演出しているという印象を受けました。
M-8 "Arthur's Theme (Best That You Can Do)"New York City Serenade"
(Christopher Cross) 05:11"
有名なメロディーのバラードを敢えてサックスにメロを取らせます。そのままでは100%「題名のない歌謡曲」になってしまうとはらはらしながら聴いていましたが、テーマはゆったりと流れます。3分弱経過したところでSaxのソロが始まり、エンディングまでサックスソロをフューチャーしつつ、曲はF/Oします。
M-9 " Vanity Story' (Original) 05:50"
M-3同様、ダークなアシッドジャズです。私はこの曲がこのアルバムの一番のお気に入りです。打ち込みのベースラインも一つ間違えればこの種の曲に目立ちがちなあざとさがなく、ちょっと凝った音をすんなりと聴かせます。Saxはソプラノ。DIMENSIONではきれいなバラードなどで活躍したソプラノサックスが、アシッドに良く馴染みます。4分40秒を過ぎた頃に始まるGとKey,Saxのユニゾンが大変に気持ちよく響きます。それまでの4分強の演奏をきれいに集約する美しいユニゾンです。F/Oはせず、軽いユニゾンがふんわりと着地します。
M-10 "Historical Medley' (Purple Haze - Chamereon - Elektric City) 05:51"
カバー曲の中で一番興味深い演奏です。初めて聞いた時には、打ち込みのPrecにあわせたPurple Hazeのイントロがコミカルに聞こえてしまいましたが、ディストーションを押さえたギターの音が絡み始めた頃にはその意図に気づきます。その後はすんなりと名曲たちのちょっとクラブ・ハウス風のカバーを楽しむことができます。ただElektirc Cityはあまりにもはまりすぎていて、カバーなのか本家なのかと思う瞬間もあります。Elektrik BandとDIMENSIONには共通する要素が少なからずあるためかもしれません。勝田さんのアウトなSaxがDIMENSIONの演奏であることを思い出させてくれます。
M-11 " So Far Away' (Carol King) 04:46"
私は原曲を聴いたことがありません。なのでカバーによるアレンジや空気の変化が分かりませんが、アルバムの最後を飾るにふさわしい、穏やかなバラードです。肩肘張らないアルトとアコースティックギターが、この実験的なアルバムをエンディングへ導きます。
・ カバーアルバムといいつつ、実は4曲のオリジナルがDIMENSIONの方向性を示すアルバムとなったようにも思えます。