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フランス 西ヨーロッパ

2016パリ3 ここでしか手に入らない「不思議のメダイ」を家族と友だちのために入手した件

2017/03/25

カタコンブ・ド・パリからラスパイユ通りを北に2km歩くと、バビロンヌ通りとの交差点に出る。そこを左折し更に200m程歩き左折すると、バック通りの「路地裏」と言って良い場所に、小さな教会がある。"Chapelle notre-dame de la médaille miraculeuse" 公式サイトの日本語ページでは、「不思議のメダイの聖母の聖堂」と紹介されている。

入り口は大変に分かりにくい。


フランス語で ”notre-dama” とは「我らの聖母」、つまり聖母マリアを意味する。だから "Chapelle notre-dame" は良いとして残りの "de la médaille miraculeuse" 「不思議のメダイ(メダル)」とは何なのか、というと、これが実に興味深い話となる。まずはそのメダイを見ていただきたい。

 

まずはメダイの表側(右)に刻印された文章なのだが、これは "Ô Marie, conçue sans péché, priez pour nous qui avons recours à vous."  「原罪無くして宿り給いし聖マリア、御身に寄り頼み奉るわれらのために祈り給え」と書かれている。下端にある ”1830” の数字は後に紹介する修道女カトリーヌ・ラブレが聖母を目撃した年であり、よく見るとその足は悪の象徴である蛇の頭を踏み砕いている。

裏面の十字架、そしてもちろん聖母マリアを意味する”M”の文字は分かるとして、Mの丈夫に引かれた線は何かというと、"immaculate"  「原罪のない」の "I" となる。12の星はヨハネの黙示録12:1に登場する  「また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた」 に由来する。この「ひとりの女」は聖母マリアであるという説も有力だ。そして下部の二つのハートは、キリストとマリアの御心、とされている。

この意匠が、「不思議のメダイの正式なもの」とされている。なぜなら1830年に現れた聖母マリの指示による意匠だからだ。

 

で、この「不思議のメダイ」とは何なのか、というと、日本語版wikipediaで大変分かりやすく解説されているのでそれを紹介した方が分かりやすい。

「不思議のメダイ(ふしぎのメダイ、フランス語: Médaille miraculeuse、英: Miraculous Medal)は、聖母マリアの出現を目撃したフランスのカトリック修道女カトリーヌ・ラブレ(カタリナ・ラブレ、Catherine Labouré,フランス語版)が、聖母マリアによって示されたお告げとイメージをもとにデザインし、金細工師のアドリアン・ヴァシェット(フランス語版)が製作したメダル(médaille=メダイユ)のこと。無原罪の御宿りのメダイ、奇跡のメダイとも呼ばれる。」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%80%E3%82%A4

 

 

1830年と言えば、フランスでは7月革命があった年でこの時1815年に王政復古で復活したブルボン王朝が倒された。フランスにしてみれば18世紀末から続く混乱期を引きずっていたわけだ。そんな7月革命が起こる27日の9日前、パリのバック通りにあった修道院の修道女、カトリーヌ・ラブレは聖母マリアを目撃した。以下も日本語版ウィキペディアからの引用となる。

 

「1830年7月18日、パリのバック通りにある修道院でカトリーヌ・ラブレは子供の声を聞いて目を覚まし、そこで彼女は聖母マリアの出現を目撃した。聖母マリアは「神はあなたに使命を委ねます。あなたは否定されるでしょう、しかし恐れてはいけません。あなたは恩寵によってその使命をなしとげるでしょう。フランス、そして世界は今、悪の時代です」と話した 。

同年11月27日、カトリーヌは夕方の黙想の時間に聖母マリアが再び現れたと報告した。聖母マリアは楕円形の枠の中で地上に立ち、様々な色の指輪をしており、ほとんど指輪からは輝く光線が地上に降り注いでいた。

楕円形の枠のへりには "Ô Marie, conçue sans péché, priez pour nous qui avons recours à vous."(原罪無くして宿り給いし聖マリア、御身に寄り頼み奉るわれらのために祈り給え)という文字があり、そして楕円形の枠は裏返り、12の星の輪と十字架の上に乗る大きなMの文字、茨に囲まれた王冠を冠したイエス・キリストの心臓(至聖なるイエスのみ心)と、王冠を冠し剣の刺さった聖母マリアの心臓(聖マリアの汚れなきみ心)が見えた。

カトリーヌはまた、聖母マリアが「このイメージを聴罪司祭に伝え、彼らにそのメダイを身に着けるように言い『それを身につける人は大きな恵みを受けるでしょう』と話しなさい」と言うのを聞いた。

カトリーヌは言われたとおり実行し、司祭は2年間の調査およびカトリーヌの日々の振る舞いについての観察の後、その身元を明かさずにパリの大司教に情報を持っていった。そして要請は受け入れられてメダイを作る許可が大司教から与えられ、聖母マリアがカトリーヌに示したイメージをもとに金細工師のアドリアン・ヴァシェットによって作り出された。それ以後、このメダイを身につけ聖母に取り次ぎを願う人々に、いろいろな奇跡の恵みが与えられたため、いつとはなしに「不思議のメダイ」と呼ばれるようになった。」

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%80%E3%82%A4

 

 

聖母出現という奇跡を受け、司祭が2年間かけて検証し、大司教の許可を受け配布された最初のメダイ1500個は、作られた理由を説明されることもなく配布され、それを受け取った人からは当時流行っていた病気からの快癒などが報告されたという。作成の経緯などが匿名で発表されたのが配布後2年経ってからだというのだから、メダイはかなり慎重に作成、配布されたと言って良い。

そしてそのメダイは、かつて修道院があったパリのベック通りで、今も配布されている。それが「不思議のメダイの聖母の聖堂」だ。

 

 

 

もともと修道院だった場所を聖堂にしたのだろうか。ちょっと分かりにくい路地裏にある小さな場所で、奥にチャペルが、そして手前にメダイを配布する小部屋がある。

 

ESPACE MEDAILLES:

メダイの頒布時間(あるいは教会に入れる時間)は、火曜日は朝9時から午後7時、週日は朝7時から午後1時までと午後2時班から7時まで、日曜は朝9時15分から、とある。メダイには大小いくつかのものがあるが、どれもほとんど原材料と加工料の実費に近い価格だ。

常識として、この種のメダイは転売されるべき性質のものではないのだが、結構なお値段でネット販売されているのも事実だったりする。また「信徒以外には無意味」とする人もいて、その扱いは慎重であって良いかもしれない。最近では「芸能人も身につけていた」などと宣伝・販売する人、また、カトリーヌ・ラブレの意匠以外の物も結構出回っているらしい。

私は、日本にいる家族と友だちのために、メダイを10数枚分けていただいた。一番小さなものは一袋に10枚近く入っていて2ユーロだったか3ユーロだったか、とにかく原材料費と人件費だけでもぎりぎりだと思われる価格で販売、というより頒布されている。1枚20セントの由緒あるメダル、欲しい人も少なくないだろうしネット通販したくなるのも事実かもしれないけれど、できれば再販されないのが理想ではないかと思う。


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