2016大邱6 慶州国立博物館が入場無料の上見応えがあり極めて満足だった件
慶州国立博物館は、慶州で出土した新羅朝を中心とする出土品10万点を所蔵・展示している博物館だ。
ここには、新羅歴史館、新羅美術館、特別展示館に月池館、そして子供博物館の5館があり、(多分最低でも)8つの国宝を始めとする素晴らしい出土品が展示されており、更に素晴らしいことに全て入場が無料だ。韓国の国立博物館は結構無料のことが多い気がするのだが、旅行者には大変にありがたい。
無料なのだけれどチケット売り場、ではないのだな、「チケット受取所」があり、ここで立派な入場券をいただく。入場無料なのだからこういうのは不要なのではないかとも思うのだけれど、そこは博物館側にも事情があるのかもしれないな。
まずは中央にある新羅歴史館に入る。ここには先史時代から新羅王朝時代の出土品が展示されている。王宮のあった場所からの出土品には装飾品も多い。個人的にこの種の装飾品からはあまり生活を感じることができないため好みではないのだが、それでも興味はひかれる。
新羅美術館には、三国時代と新羅独立朝時代の仏教美術品がの展示が多い。
野外展示もなかなか充実している。「エミレの鐘」とも言われるこの鐘聖徳大王神鐘は、鋳造がうまくいかないため子供を人柱とし、その泣き声「エミレ(お母さん)」が鐘の音から聞こえたという悲しい話で知られている8世紀に鋳造された国宝だ。8世紀とは言え事実だとすれば酷い話で、私などは触れることもためらわれるのだが、この鐘には人が多く集まりみんなあまりためらいなく触ったり鳴らしたりしている。
月池館には、私が入場料を支払うのが嫌で素通りした雁鴨池(月池)と周辺からの出土品を展示している。月池の復元模型や生活器具などもあり、個人的には新羅歴史館の装飾品群より、こちらの方が面白い。
慶州と新羅という限定されたテーマの博物館であるにも関わらずここはなかなか見応えがあり、さらっと見るだけでも1時間はかかる。歴史の知識が豊富な人や出土品に関心の深い人だったり、あるいは土産物店で貸し出しているオーディオガイドに手を出したりすると、もっと時間はかかるのだろうな。
朝イチで大邱を出た私も、博物館を見終わった時にはもう11時になっていた。ここからは市バスで街に戻る。
慶州のバスターミナルに着いたら、一番早く出る高速バスで大邱に戻る。バスはこのターミナルからだけでも30-40分ごとに出発するので、タイミングを誤ることはない。列車の風情は楽しいけれど、移動の便利さといえば、韓国はやっぱりバスだ。
一応座席指定ではあるのだけれど、全く機能していないのが韓国のバスらしくて良い。往路の鉄道と全く同じだ。満席だったとしたら一応座席番号は機能するのだろう。この辺の緩さは嫌いじゃない。
11:30に慶州を出発した高速バスは、1時間程で東大邱に到着した。
慶州は興味深い観光地だし、新羅の歴史に興味のある人にとっては1日いても時間の足りない場所だとも思うが、今回の私のように「どうも慶州が近いみたいだから、電車に乗るついでに散歩でもしてやるか」的いい加減人間には、この午前中だけの半日慶州旅行は悪くはない。というより、大邱での半日の使い方、としてはかなり面白い、と思うのだ。
クロスシートの急行列車には乗れるし、慶州のシンボルとも言える「天文台」も見られるし、恐ろしく地味な新羅宮跡も見られるし、無料で充実した国立博物館で新羅のお宝も見られる。今思い出して唯一心残りだったのは慶州エリアで何も食べなかったことだが、私には東大邱のチャジャン麺で十分だ。
チャジャン麺3900ウォン(≒380円)というのは、韓国でも安い方だ。4000ウォンじゃなくって3900ウォンであるところに、価格競争にも参加するという確固たる意思を感じる。さすが、バス会社のおじさんが勧めてくれるだけあるぞ!