2016バルセロナ3 サグラダファミリアは大型クレーンが乗っかっていてこそ魅力的なんだと感じた件
2017/05/14
宿からサグラダファミリアからは約2km。せっかくなので、サグラダファミリア同様「アントニ・ガウディの作品群」として世界遺産に指定された、カサ・バトリョ、カサ・ミラを経由してみる。
カサ・パトリョは1877年に建てられた、ガウディのパトロンでもあったた繊維業者の邸宅だ。
中にいる分にはまだしも、外観が気になったら絶対に室内で落ち着けないに違いないこのデザインは、サン・ジョルディの龍退治を描いているとか、謝肉祭をテーマにしているとか、海底洞窟をイメージしているとかいろいろな説があるのだが、私はもう一つの説を提唱したい。「特に何も考えていなかった」説だ。設計図もあまり上手く描けなかったガウディ、粘土をこねくりましていたら、なんとなくこんなものが出来た、という可能性だって否定できないぞ、
カサ・ミラ。
くねくねしている。1910年に完成したこの建物は、カサ・パトリョ以上にくねくねしている。話によるとこの建物の基本構成に直線は全く使われていないのだそうだ。砂丘や溶岩をイメージしたとか、地中海をイメージして作られたとか言われているけれど、実際のところはわからない。「ゲージュツ」なんてそんなもんだ。ちなみに完成当時、バルセロナ市民はこれを醜悪な建物と考え「石切場」と呼んだらしい。「ゲージュツ」などどうでも良い普通の市民の真っ当な感覚だな。
どちらも世界遺産であり、内部の見学にはそれそれ20€以上がかかる。私は外観からの見学だけで十分満足した。サグラダファミリアの29€だけで、私の支出は限界だ。
そしてサグラダファミリア。
その規模も大きさも圧巻だが、なんといっても、聖堂に鎮座しているクレーンがいい!
サグラダファミリアで「聖別」(consecration)が行われたのは2010年、たった6年前だ。この年の11月ベネディクト16世によって聖別されるまで、ここはバシリカ(上位の教会堂)ではなかった。そのくせ2005年には世界遺産に登録されているのは、歴史ある教会ではなく「ガウディの作品群」として高く評価されていたからだ。現地の解説では聖別を「神を招く」的に解説してあって、つまりそれまでは「ただの作りかけの大きな建物だった」ということになる。この辺は面白いよなぁ。
途中見たくねくねビルに比べると、サグラダファミリアにはやはり荘厳さが漂う。老いてからのガウディは熱心なカトリック教徒だったようで、宗教建築だけを行っていたらしい。29€の ”TOP VIEWS” チケットには日本語版のオーディオガイドもついてくるので、重要な部分については解説を聞くことができる。解説ポイントは10前後とそんなに多くはないので、ここはじっくり全てを聞きたい。
入り口から聖堂を見上げる。
いいねぇ。サグラダファミリアが他の大聖堂と圧倒的に違うのは、その最上部にクレーンが鎮座しているところだ。荘厳で巨大な宗教建築と無骨な重機の組み合わせなんて、なかなかよそでは見られるものじゃない。「いいねぇ、いいねぇ」といいながら中に入る。
21世紀に至るまで100年以上かけてつくっただけあって、大変に良くできている。ステンドグラスも、東側と西側では色合いを変えていて、一日の始まりと終わりより美しく伝える。サグラダファミリアは、ステンドグラスによる建物内部の彩色が大変成功している。
地下には、サグラダファミリアに関する作業室、構造・資料展示があり、これも興味深い。
物価の安いスペインで、入場料だけで15€、タワーに登ると29€というのは決してお安くはない。でも、特に建築やガウディに関心がなくても、バルセロナに来たらサグラダファミリア遠くで見るだけではもったいない。多くの観光スポットを「中に入ると高いから」と入場料を払わず引き返してきた私だが、サグラダファミリアには入場料を払っても後悔することはなかった。そしていよいよ、入場料を倍近くに跳ね上がらせたエレベーターに乗る時間だ。