2012ミャンマー19 ポッパ山/タウン・カラッ(ト)参拝 ①
車は焼酎工場の見学をしても、1時間ちょっとでポッパ山に着いた。
ポッパ山は標高1518メートルの山だが、観光客のお目当ては山頂ではない。タウン・カラット(Taung Kalat)と呼ばれる妙に出っ張った標高738メートルの岩山だ。こういう珍しい風景をミャンマーの人たちが放置するわけがなく、ミャンマーの精霊「ナッ」信仰の総本山でもある。この土着信仰はモン族やビルマ族が王国を作る以前から存在し、バガン王朝の初代アノータヤー王が仏教の布教をしようとしたとき、かなりの障壁となったらしい。やっぱり地域に根ざした信仰は強い。
車はタウン・カラットからひとつ谷を挟んだ反対側、というか、隣山の街に駐まる。この地図(航空写真)で言うと、"A"とあるのがタウンカラットで、東側にあるうねうね道途中の集落が、各種車両の駐車場になっている。タウンカラットの真下には、あまり駐車スペースはな……
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車は焼酎工場の見学をしても、1時間ちょっとでポッパ山に着いた。
ポッパ山は標高1518メートルの山だが、観光客のお目当ては山頂ではない。タウン・カラット(Taung Kalat)と呼ばれる妙に出っ張った標高738メートルの岩山だ。こういう珍しい風景をミャンマーの人たちが放置するわけがなく、ミャンマーの精霊「ナッ」信仰の総本山でもある。この土着信仰はモン族やビルマ族が王国を作る以前から存在し、バガン王朝の初代アノータヤー王が仏教の布教をしようとしたとき、かなりの障壁となったらしい。やっぱり地域に根ざした信仰は強い。
車はタウン・カラットからひとつ谷を挟んだ反対側、というか、隣山の街に駐まる。この地図(航空写真)で言うと、"A"とあるのがタウンカラットで、東側にあるうねうね道途中の集落が、各種車両の駐車場になっている。タウンカラットの真下には、あまり駐車スペースはないのだ。
そのため観光客は、この駐車場(兼市場)から100メートルほど階段と道路を降り、そこからタウンカラットへの階段を登り直すことになる。まぁ、たいした距離ではない。
駐車場
階段の途中にはこんなものもある。
海を越えてミャンマーで人気者となった高倉健、ではない。ボー・ミン・ガウン(Bo Min Gaung)という"Weizzar" だ。私はビルマ語ができないので "weizzar" という単語を書くしかないのだが、この "weizzar" とはどうも「智慧と超能力的力を併せ持つ聖人というか超人」みたいな意味合いらしい。Weizzar Lanというサイトを見ると、「ボー・ミン・ガウン / ミャンマーで最も人気のあるWeizzarのひとり」とあり、Weizzarが彼1人ではないこともわかる。
今でもミャンマーでは占い師が多く、1992年から2011年までミャンマー軍事政権のトップであったタン・シュエが、2005年に首都をいきなりネビドーに移したことやその引退も、実は占い師の従ったため、という噂もあるほどだ。実は私も、ミャンマーで最も有名でETと呼ばれる占い師に会おうともくろんでいたのだ。何が言いたいのかというと、まぁそれくらい、この種の聖人や超人はミャンマー人に受け入れられていることだな。
タウン・カラット真下に到着。
ここから山頂までは、マンダレーヒルを整備したことで有名な U Khandi という "Hermit"(ニュアンス的には仙人に近い)が777段の階段を整備した。麓から山頂までは約20分と緩い登山気分を否応なしに味わうことになる。重くなった私の体には決して「楽勝」ではないが、麓から見上げる山頂の姿をみると、登ってやろうという気にならない方が少数派なんじゃないかと思うぞ。
ほいさっさ、っていきなり土産物屋商店街かよ。
別によその国にだってあるけれど、ミャンマーの場合寺院や聖地にこういう商店が並ぶことが多い気もしないでもない。お隣のタイなんかお寺にはそれなりの敬意を表して、あんまり敷地内にあからさまな商店街的部分を作らないもんな。あ、日本は浅草があったっけ。
階段沿いには、ぽつぽつと寺院的なスペースがある。
で、お釈迦様と同じくらいあちこちにいるのが、当然健さん、じゃなくってボー・ミン・ガウン。
ボー・ミン・ガウンは1938年から1953年までここポッパ山タウンカラットの祠で暮らした。さすが"Weizzar"だけあって、「智慧の力」で奇跡もいろいろ起こしたらしい。仏教の僧ではないのだけれど仏教徒でもあるらしく、ミャンマーの場合「仏教徒が瞑想なんかしてればもうそれ坊さんじゃん」という発想は間違い、ということになる。ややこしいなぁ。ちなみにこのWezzarボー・ミン・ガウンは喫煙者だったようで、煙草を吸っている像なんかもある。ここでは火をつけた煙草をお供えするという山火事的にけっこう危険な参拝方法もあったらしい。
商店街を抜けると、
「ここから先は靴を脱いでね」エリアに入る。ここからは寺院ということだな。
履き物を預ける場所もあるし、通路の隅に置いていく人もいる。私は当然その辺に置いておく派だ。そしてここからがポッパ山タウンカラット参拝、ということになる。ちなみに参拝料や入場料の類は一切かからない。無料とはなかなかお安いではないか。
ちなみにミャンマー(ビルマ)の "weizzar" とその信仰については、"ビルマからの手紙"で知られる東京外語大の土佐圭子さんが"ミャンマーのウェイザー信仰"という日本語の本を書いている。販売サイトの紹介によると、「ウェイザーとは、錬金術、呪符、マントラ、偈文などの術の修得によって、超自然的能力(空が飛べる、海の中を自由に行き来できる、食物なしで活動できる、傷を受けないなど)を得て、究極的には不死身の身体を獲得した存在である」なのだそうだ。これを読んですごく胡散臭いと思ったあなたは、私と似た感覚をお持ちだと思う。 ちなみにこの本は研究書ということなのか1万500円もするので、私は未だ読んだことがない。読みたいなぁ、である。
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