2012ミャンマー21 世界で唯一のタナカ博物館を見た件
バガンのバスターミナル近くにタナカ博物館がある。
タナカ(Thanaka)は樹皮から作られるミャンマーの化粧品だ。例のヤシ酒工場でも作る場面を見たが、バガンの寺院巡りをしている時にも、「ガイドの様に話しかけてくる土産売り」が頼みもしないのに私を足止めしていきなりペーストを作り始めたりもした。更には袋に入った小さなタナカをかなり強引に「プレゼント」したりして、私が彼女の売り物であるロンジーを買わなかった時にはあからさまに落胆していたっけなぁ。基本バガンの「ガイドの様に話しかけてくる土産売り」は商売下手が控えめさ方面に発揮されるのだが、彼女は珍しく強引な商売下手だったのが印象的だった。
そしてこれが「タナカの木」だ。
何の木なのか尋ねても、彼女は "Thanaka Wood" としか言わなかった。「いやねぇ、あんた、タナカの木に決まってるでしょ?それより知ってる?ミャンマー人はロンジーの下に何も身につけないのよ」と突然聞いてもいないことを話し始めたりと、かなり空気が読めていない感を漂わせていたことは、更に印象的……
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バガンのバスターミナル近くにタナカ博物館がある。
タナカ(Thanaka)は樹皮から作られるミャンマーの化粧品だ。例のヤシ酒工場でも作る場面を見たが、バガンの寺院巡りをしている時にも、「ガイドの様に話しかけてくる土産売り」が頼みもしないのに私を足止めしていきなりペーストを作り始めたりもした。更には袋に入った小さなタナカをかなり強引に「プレゼント」したりして、私が彼女の売り物であるロンジーを買わなかった時にはあからさまに落胆していたっけなぁ。基本バガンの「ガイドの様に話しかけてくる土産売り」は商売下手が控えめさ方面に発揮されるのだが、彼女は珍しく強引な商売下手だったのが印象的だった。
そしてこれが「タナカの木」だ。
何の木なのか尋ねても、彼女は "Thanaka Wood" としか言わなかった。「いやねぇ、あんた、タナカの木に決まってるでしょ?それより知ってる?ミャンマー人はロンジーの下に何も身につけないのよ」と突然聞いてもいないことを話し始めるなど、かなり空気が読めていない感を漂わせていたことは、更に印象的だったものだ。
昔どこかで「ミャンマー女性のほとんどがタナカを塗っている」と聞いたが、私が出歩いた外国人観光客が大勢押しかけるエリアでは、必ずしも「ほとんど」はタナカを塗っていなかった。むしろ女性より子どもの方が塗っている率は高いのではないか、とすら思った。
装飾するという意味でのタナカは、外国人である私の目からは「美しい系統のもの」には見えない。塗り方に個性が出るのだろうが、塗り方によっては立派なバカ殿様にもなってしまうわけで、これは危険な賭だ。やはりタナカは、現地で聞いたとおり「まず日焼けどめでしょ?次に保湿、あと蚊なんかを寄せ付けない効果もあるのよね」という見た目より主に効果系の化粧品なんじゃないかとも思う。そう考えると、タナカを塗られた子どもは、家族の「日焼けしちゃうからちゃんと塗って行きなさい」的愛情を受けているということになり、そうなると大変ほほえましい。
ちなみにこのタナカ、ミャンマー国内だけではなく隣接する国の一部にもあり、タイ北部の国民党由来の村である ban rak thai に幼児を連れて出かけたときにも見かけた。6年前ははっきりとは書かなかったがこの辺りの人たちが国境など無視してタイとミャンマーを行き来していることは常識だし、ミャンマーのシャン族は、「シャム」、つまりタイ族と名乗っている上にミャンマー政府がコントロールしきれない地域でもあったわけで、こうなると「ミャンマー国内」という前提すらあまり意味を持たないのだから当然だ。
タイ北部・ban rak thai村の子どもたち(2006)
このタナカをテーマにした世界唯一の博物館がバガンにある。その名も "Thanaka Museum" だ。
"only one Thanaka Museun in the world"
タナカの風習がミャンマーと周辺国のごく一部にしかないのだから「世界で唯一」も何もない、という気もする。桃太郎神社やかまぼこ博物館が世界唯一であるのと同じレベルじゃねーか、と思わないでもない。まぁどちらもそれなりに面白かったし、ポッパ山ツアーが半日で終わってしまったこともあり、とりあえず見学してみる。なによりここは入場無料だ。
タナカ博物館は、タナカ販売の大手であるシュエピーナン社によって作られた複合施設にある。それほど広くはないが石畳を敷かれた内部にはレストランや土産物屋、マッサージ屋などがあり、埃っぽいバガンで唯一「小洒落た感」を醸し出している場所だ。
博物館の職員は当然のようにタナカを塗っている。
博物館の中もそれなりに洗練された内装だ。タナカとは言え一応化粧品、野暮ったい雰囲気ではまずいのだろうな。
タナカ博物館がバガンにある理由の1つが、タナカの産地がミャンマー中部のバガンやマンダレー周辺であることだ。シュエピーナン社はこのエリアにあるため、外国人の集まるこの場所に博物館を作ったんじゃないかと思う。ちなみにシュエピーナン社のタナカは、よく分からないけれどなんだか賞も獲っているらしい。
展示内容はというと、テーマをタナカに限定されるためどうしても限界がある。まず、タナカについての一般的な紹介があり、
あとは、タナカペーストを作る道具とか、
原木のいろいろ、だとか、
過去の文献などにあるタナカについての記述とか、
そんなもんだ。
ちなみにここでは、当然の様にシュエピーナン社のタナカも売っている。
個人的には、ロンジー売りのおばちゃんに要らないと言っているのに押しつけられた紙袋入りのタナカも捨てがたいとは思うのだが、立派な容器に入ったお土産用のタナカを買うならここでもいいかもしれないとも思う。どうせ持って帰ったところで、日本でタナカを塗る機会など全くないだろうし。まぁ記念品、だな。
タナカ博物館は、ニャンウーの市場をバスターミナル方面に向かう途中、大通りの左側にある。敷地にはミャンマーではかなりレアなトイレットペーパーつき無料洋式水洗トイレもあるので、覚えて置いて損はない。
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