旅のリアルタイムメモ ルーマニアの薬局で買う抗生物質は安くて強力だった件
出国前に医者からもらった抗生物質が尽きた。
実は出発前日まで仕事をしていた私はちょっと扁桃腺炎と咽頭蓋炎気味で抗生物質の投与を受けていたのだが、その薬がモルドバで尽きてしまったのだ。きちんと1週間分飲んだのにのどの痛みは残っていて、まだ完治していないことが自分でも分かる。扁桃腺炎とは数十年のつきあいなのだ。
このまま放置しておくと、飲食物を飲み込むことができなくなってしまう。しかたないので、ブカレスト駅構内の薬局で抗生物質があるかどうか尋ねてみた。
「あら、それは大変ですね。ではこの薬を12時間毎に1錠飲んで下さい。OSPEN 1500という汎用のペニシリンです」
もちろん口に入れる前に素性をネットで調べてみる。どうやらこのオスペン1500、耳鼻咽喉科系の感染症には一般的な抗生物質のようだ。私はペニシリンにアレルギーはないのでえいやっと口に入れる。なぜかミント味のコーティングがしてあって多少とろみがあり、水がなくても飲める。これは便利だ。飲んだ30分後、私の扁桃腺と咽頭蓋からは痛みが消えていた。ちょっと強めの薬だな。
このオスペン1500、12錠(6日分)入りで定価は6.1ルーマニアレイ、日本円で約130円だ。ルーマニアの物価を考えてもこれは安い。医療体制が十分に整っていない国の薬局で処方箋なしで抗生物質が買えること、そしてその価格が比較的安価なことは時々ある。こういう国で非常用に抗生物質を買い置きしておくのは悪くない。私はあと2箱、合計3箱18日分を買った。これで帰国まで毎日喉が痛んでもとりあえず生きて帰れる。
このオスペンを包んでいた薬局の紙袋がなかなかチャーミングだった。
緑十字の中に描かれた蛇と杯のシンボルはヒュギエイアの杯と呼ばれる薬学のシンボルだ。ヒュギエイアとはギリシャ神話に登場する名医アスクレピオスの娘(別名サルース)で、健康や衛生関係を担当する神様ということになっている。この蛇が杯ではなく杖に巻き付いていた場合、それはお父上であるアスクレーピオスの杖で医療のシンボルと言うことになる。ギリシャ神話文化圏の街を歩いていて蛇系のシンボルがあった場合、それは病院や薬局であることが少なくない。ブカレストでは病院にもアスクレーピオスの杖ではなくヒュギエイアの杯が描かれていた。
まぁ普通に "FARMACIE" の看板を探した方が手っ取り早いんですけどね。