2012ミャンマー39 ヤンゴンの脱力系寺院、メーラムー・パヤー1
ヤンゴン環状線を時計回りで2時間半ほど堪能し、"TADARGALEY"という駅で下車する。$1の外国人チケットで途中下車できるのかはっきりしたことはわからないのだが、ミャンマー人の10チャットに比べ80倍以上の運賃を支払っているのだから、ここはひとつよろしくね、だ。一周3時間以上の長旅だから、トイレに行きたくなる人もお腹がすく人もいるだろう。多少のことは許されていい気もするぞ。って、私も少しお腹がすいてきた。ランチにしよう。
TADARGALEY駅前のレストランで、卵のカレー。700チャット。ここのカレーはミャンマーで食べたものの中で一番おいしかった。カレーって言っても、実態は「香辛料で味付けした煮込み油でご飯を食べる」系であることには違いはないんだけれど。ごはんやスープの器が空になるとおかわりを持ってきてくれる心意気もうれしいじゃないか。
人の良さそうな店主に大通りの方を指さして「メーラムー・パヤー?」と尋ねるとそうだよとばかりに頷いてくれる。TADARGALEYの駅から北に約700mの場所にあることはホテルで確認しておいたのだが、降りる駅を勘違いしていたりしたら、目も当てられないもんな。
メーラムー・パヤー。
地球の歩き方には「カバーエー・パヤーの2km程北」などと雑なことしか書かれていないこの場所、「パヤー」と言うからには寺院なのだが、由緒ある系でもありがたい系でもない。どちらかというと脱力系の寺院だ。
「説話に基づいて作られた様々な仏像などが俗世の人間たちに教訓を与えるよ」的コンセプトで建立されたのだろうけれど、東方の蛮国からやってきた私などには「ネタの宝庫」にしか見えない、東南アジアで時々見かけるタイプの寺院だ。まずは中に…
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ヤンゴン環状線を時計回りで2時間半ほど堪能し、"TADARGALEY"という駅で下車する。$1の外国人チケットで途中下車できるのかはっきりしたことはわからないのだが、ミャンマー人の10チャットに比べ80倍以上の運賃を支払っているのだから、ここはひとつよろしくね、だ。一周3時間以上の長旅だから、トイレに行きたくなる人もお腹がすく人もいるだろう。多少のことは許されていい気もするぞ。って、私も少しお腹がすいてきた。ランチにしよう。
TADARGALEY駅前のレストランで、卵のカレー。700チャット。ここのカレーはミャンマーで食べたものの中で一番おいしかった。カレーって言っても、実態は「香辛料で味付けした煮込み油でご飯を食べる」系であることには違いはないんだけれど。ごはんやスープの器が空になるとおかわりを持ってきてくれる心意気もうれしいじゃないか。
人の良さそうな店主に大通りの方を指さして「メーラムー・パヤー?」と尋ねるとそうだよとばかりに頷いてくれる。TADARGALEYの駅から北に約700mの場所にあることはホテルで確認しておいたのだが、降りる駅を勘違いしていたりしたら、目も当てられないもんな。
メーラムー・パヤー。
地球の歩き方には「カバーエー・パヤーの2km程北」などと雑なことしか書かれていないこの場所、「パヤー」と言うからには寺院なのだが、由緒ある系でもありがたい系でもない。どちらかというと脱力系の寺院だ。
「説話に基づいて作られた様々な仏像などが俗世の人間たちに教訓を与えるよ」的コンセプトで建立されたのだろうけれど、東方の蛮国からやってきた私などには「ネタの宝庫」にしか見えない、東南アジアで時々見かけるタイプの寺院だ。まずは中に入ってみる。
のっけからシュールな光景だ。多少上体を起こした寝釈迦にパゴダ、更には電飾のつけられた塔など、寺院としては当たり前の風景なのだが、「ありがたい」と思うには微妙な違和感を覚える。寝釈迦に接近してみる。
なんだかありがたくない。
極彩色の仏像は東南アジアでは結構お馴染みでそれに対する違和感はあまりないのだが、メーラムー・パヤーのそれは「つくりもの」感が頭三つ程抜きんでていて殊更チープに見える。ここを仏教のテーマパークと呼ぶ人もいるようだけれど、確かにテーマパークのように安っぽい。とここで文句を言っても仕方がないので、安っぽいつくりもの感を楽しむために寺院を廻ってみる。
(日本の寺ならご本尊は基本1体なんだがなぁ…)
(瞬間移動托鉢、ではないんだろう。多分)
それぞれの仏像には、背景となる仏教説話があるのだろうが、手塚治虫の「ブッダ」程度にしか仏教知識のない私には背景が読み取れない。だいたい、仏像と同じくらい偉そうにツーショットで収まっているこの髭面は誰なんだ?出家前のゴータマさんか??
芥川の蜘蛛の糸、じゃないよね、きっと…
あ、これは分かる。鹿を撃ったら親だった、みたいな話だ。多分。
これはウルヴェーラの林ですな。苦行時代のゴータマさんに違いない。右下にはビルマ語でなにやら解説があるけれど、当然1文字も読めない。違ってたらどうしようだ。
悟ったブッダをみんなが拝む。
ヘビもカエルも拝む。
まじめに仏教を学ぼうとする人がこれを見てどう思うのかはなかなか想像がつかないが、一般大衆に仏教を伝える術として、こういう方法もありなのだろう。子ども向けの絵本みたいなものだろうか。日本には桃太郎神社というしょうもない偽神社大変個性的な神社のようなものがあり、そこには日本がこそこそ誇るコンクリート像作家、浅野祥雲の手による味わい深い作品群があるが、メーラムー・パヤーの仏像群からは全く同じ匂いが漂う。
6年前、家族全員でバンコクからメーホンソンまでドライブをした時、Wat Thawet という脱力寺を訪問したことがある。その時寺は工事中で、タイが誇る脱力オブジェを見ることができなかったのだが、今回ここヤンゴンでその時のリベンジを果たした、そんな気分だ。
そしてここメーラムー・パヤーは、知る人ぞ知るミャンマー手相見占いの秘密基地でもある。