世界、大人の社会科見学!

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2013 タナトラジャ/ジョグジャ11 トラジャの葬儀に参列し、いろいろとご接待を受けた件

 
 マカッサルからトラジャに向かう時、夜行バスで隣り合った人に「トラジャには何をしに?セレモニーを見に来たのか?」と尋ねられた。ここで言うセレモニーとは葬儀のことだ。つまり、地元の人にとってもトラジャの葬式は「外国からわざわざ見に来る価値のあるもの」と認識されている。更に言えば「見ず知らずの外国人でも見学できるもの」であることも分かる。

 「死ぬために生きている」と言われるほど豪華なトラジャの葬儀は、ラマダン明けや年始年末の休暇に多く行われる。これは多数の参列者を期待してのことで、死者の遺体は葬儀が葬儀が行われるまでの間、防腐処理を施されて食事や煙草などを備えられる。つまりは、「葬式を済ませるまでは生きている」ということだな。豪華で大規模なトラジャの葬式は、亡くなったからといってすぐに行うことができるような簡単なものではない。トラジャの文化の大きな特徴にこの死生観があり、ラマダン明けの休暇にトラジャにきてこれを見逃す手はない。

 トラジャの人たちや観光案内所もそのことを十分に認識していて、観光客のためにエリア内で行われる葬儀の情報を提供してくれる。この種の情報は基本的にクチコミなので、そのルートによって「ホテルのスタッフは知っていたけれど、観光案内所の人は知らなかった」ということも良くあるらしい。私はランテパオからペテペテで20分程南下したアランアランというエリアで、葬儀が行われることを知った。

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葬儀の行われるトンコナンのおおよその場所は聞いていたが、ペテペテを降りても詳細な場所が分からない。人の流れについて行けば良いのか、という淡い期待もあったのだがそれ程の人出もなく、結局バス停(というかペテペテ乗降場)にたむろしているバイクのお世話になった。ペテペテ代が3000ルピアなのにバイク代は10000ルピアと多少の割高感もあったが、道案内代を含むと考えるしかない。この葬儀の会場は、街道から2-3km離れた山中で、バイクの道案内なしではたどり着けなかったと思う。

外国人観光客も参加できるトラジャの葬式だが、手ぶらまずい。葬儀に参列する人は砂糖か煙草を持って行くのが常識だ。観光案内所で「砂糖は何キロくらい持って行けばいいの?」と質問したら、スタッフ達は全員で「3キロ?うーん5キロ」と協議を開始し、1分後「外国人は煙草を1カートン持って行きなさい!」という結論を伝えてくれた。葬儀会場には何となく「遺族関係者席」のような場所があるので、そこで尋ねれば誰に煙草を渡せば良いか教えてくれる。英語は通じなかったけれど、礼儀正しく煙草のカートンを持って挨拶をすればなんとかなった。

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トラジャの葬儀は一般的に3日間続き、歌や楽器の演奏、水牛の屠殺などが行われる。貴族階級が親族同士でで共有している水牛は富そのものであり、富は水牛の所有数で決まる。その高価な水牛を屠殺・解体することは豪華で華やかな葬儀の大イベントになっていて、「アランアランの葬式じゃ水牛20頭を解体するらしいぞ!すっごいよなぁ!!!」的評判になる。肉は肉屋かスーパーで的暮らしをしている日本人には結構衝撃的な光景だ。

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これだけの水牛を解体するのだから、これは1日がかりの作業になる。参列者は飲食の接待を受けながら、この解体作業を見守る。会場の隅に座った私にも、お茶、お菓子、食事や酒が提供された。食事は目の前で解体された水牛の肉を野菜と一緒に塩辛く煮付けた物で、ごはんと一緒に提供される。希望者には煙草も箱ごと配られていたっけなぁ。

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ポリタンクに入っているのはヤシ酒、私の好物だ。甘酸っぱいヤシ酒を飲みながら、周囲の参列者と言葉を交わし、朝から夕方まで水牛の解体を眺める。日本じゃまずできない体験だ。

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切り落とされた水牛の足は、こどものおもちゃとなる。

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解体された水牛の肉は、参列者にも配られる。それを期待してなのだろうか、3日間の葬儀のうち水牛が解体される2日目が、もっとも参列者が多かった。

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トラジャの人たちはそのほとんどがキリスト教徒だ。しかしアルクと呼ばれるアミニズムも微妙に共存していて、このような形態の葬儀となる。棺を安置するのはトンコナンであり、そしてその棺は教会に運び込まれる。

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トラジャ数百キロ離れたバリ島はヒンズー教の島だが、ここにも死後時間が経ってから大規模に行われる葬儀の習慣がある。根底にはキリスト教もヒンドゥー教も包括する同種のアニミズムがあるのだろうが、バリ島の葬儀が華やかで長期間続くのに対し、トラジャの葬儀は3日程の日程で、バリ島のそれよりは湿っぽい。実際棺の前で涙を流す親族もいて、バリ島のそれとはずいぶん違う印象を受けた。確かにトラジャの葬儀=「セレモニー」は、異文化を体験するという意味で、トラジャを訪れた人には見逃すことができないイベントだ。いきずりの外国人にも開放されていることに感謝しつつ、ぜひ訪問するべきだと思う。



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