2012黒海西側を行く10 チェルノブイリ1日ツアー④ 汚染された遊園地と保育所
プリピャチ市は、原子力発電所の従業員が子どもを育てるための施設も充実していた。保育所や遊園地、もう少し成長した子どもたち(あるいは大人)のためには体育館や温水プールもあった。街には川もあり美しい森に囲まれ、育児には理想的な環境だったように思える。原発から2~4kmの至近距離という事実以外は。
この遊園地は、遮るものなく原子力発電所に向けて開けている位置にあるため、プリピャチの中でも放射性物質が多く集まった。大人が何よりも守らなければならない子どもたちのための施設なのに、廃墟と化し汚染されていることが、なんとももの悲しい。
スタッフが、アスファルトで固められた地面の一点を指し示して、ここにガイガーカウンターを置いてみろ、と言う。
なんだよ46.7μSv/hって!
このガイガーカウンターは1年半くらい北海道から九州まで日本のあちこちで放射線量を観測してきたけれど、どんなに数値の高い場所だって1μSv/h台が最高で、2μSv/h台の表示なんて見たことはない。46.7μSv/hなんて、むしろ「このガイガーカウンターでもそんな高い数値をちゃんと計測して表示することができるんだ!」と見当違いの驚きを感じるレベルだぞ??
スタッフによると、このただ事では放射線量は、プリピャチの遊園地の中でもいくつかのポイントでのみ観測されるらしい。その範囲は必ずしも広くはなく、感覚的には「直径50cmの特定の部分だけ極めて高い」という感じだ。こどもの足でも数歩歩いただけで、極めて放射線量の高いポイントとそうではないポイントを行ったり来たりすることになるんだな。こんなに狭い範囲だけ高濃度汚染がされているなんて、その気になって調べなければなかなか分かるはずはない。日本にもまだ見つかっていない似たような場所は結構あるんじゃないだろうか?
「原子力発電所の敷地の中や、鉄道の線路には、100μSv/hを軽く超える場所も多くあります」とスタッフは言う。彼らは見学者がそういう高濃度汚染ポイントに近づかないように見守る役割も担っている。そのスタッフ自身はと言うと、被爆を考慮して、勤務日数は他の公務員の1/2とされているそうだ。
子どものための施設と言えば、チェルノブイリ市郊外には保育所もある。
そしてこれが、もしかしたらあの有名な「日曜日の遠足は中止になりました」の日誌なのかもしれないが、スタッフに内容を確認するのを忘れてしまった。撮影しておけばあとで分かるとも思ったのだけれど、読みにくい…