世界、大人の社会科見学!

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香港・深セン

2015恒例香港参り10 秀逸な深水埗のユースホステル "メイホー ハウス / 美荷樓"で、香港の難民アパートと公共住宅の歴史を学んだ件

2016/07/28

 
2013年まで香港のユースホステルと言えば、西貢や荃灣、大帽山の山中など「自然は豊かだけれど街へのアクセスが良くない」場所が多く、「唯一マウントデービスのユースが中環から夜10時頃まで無料シャトルを走らせているので夜の街歩きも楽しめる」のが実情だった。

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(こちらはマウントデービス)

マウントデービスのユースはなかなか小綺麗で、青衣側とは言え夜景も見えるし、冷蔵庫もキッチンもあるし、結構悪くない選択肢だとは思うのだが、シャトルバスで中環からバスで20分くらいかかる上に「乗れなかったらタクシーでも使って自腹できてね」というシステムが心ゆくまで街歩きを楽しむには向いていない。あの距離をタクシーに乗ったら結構な値段になるはずだ。10分くらい歩いても良いからバス便があって、徒歩圏内に小さな雑貨屋でもあればいいのにな、といつも思う。

そんな2013年、都心と言って良い深水埗に大変に清潔でおしゃれなユース美荷楼ができたのだから、これは事件だった。遅くなればなるほど怪しく賑わう下町の宿が山の中と同じ値段なのだ。喜ばない方がおかしい。しかもここにはドミトリーだけではなくツインやダブル、ファミリールームもある。

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この美荷楼(メイホーハウス)は、どこもかしこも清潔でおしゃれなだけではない。敷地内に美荷楼生活館という極めて興味深い私営の博物館がある。

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深水埗の北東になる石硤尾では1953年12月25日に大火災が発生し、164000平方メートルが焼け58000人が焼け出された。メイホーハウス(美荷楼)はその難民のために建てられた最初の難民アパート・公共住宅なのだ。 だからここには石硤尾を初めとした難民アパートや公共住宅、そして当時の生活文化に関する展示がされている。

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ここで興味深いのは、公共住宅の住環境の変遷だ。香港観光協会では2000年頃まで公団住宅を見学するツアーをやっていて私も参加したことがあるが、それは「狭いながら楽しい我が家」的、ある意味「理想的」な公共住宅だった。しかしここに再現されている公共住宅は、大火の(長期定住型)難民アパートであったことを差し引いても、あまり居心地が良さそうではない。

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もちろんテント生活に比べれば天と地の差ではあるけれど、あまり良い住環境とは言えない。しかし、このメイホーハウスがリノベーションで快適な宿になったように、石硤尾の公共住宅もそれなりに進化はしてきた。ここではその変化の様子も分かる。

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とても「広くて快適」とは言えないが、土地の狭い香港で庶民が暮らしていくには「あまり多くの文句は言えない」程度の水準なのだと思う。2段ベッドの横にわざわざ麻雀卓を置いてそれでなくとも狭い部屋を窮屈にするのはどうかとも思うけれど。この程度の公共住宅だって、香港では入居できれば幸運らしい。運が悪くて収入がなければ籠民だ。

メイホーハウスは、この石硤尾公共住宅の最も初期に建てられたブロックAからHの8軒のうちの1軒で、ここに泊まるには石硤尾の歴史くらい知っておいて損はない。博物館を見た後に石硤尾の公共住宅群を見ると、この土地への共感が深まると思う。

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ちなみにこのメイホーハウス、香港の宿としてはただ事ではない人気で、ドミですら繁忙期には数週間前に満員のこともあるし、ドミ約HK$200はおおよそ安定しているけれど、ツインやダブル、ファミリールームは、レセプションの正直そうなおねえちゃんまで「時期によって結構違うんですよねー」と申し訳なさそうに言う程、極めて香港的な価格設定になっている。とはいえ清潔なツインやダブルにHK600位から泊まれる時期も結構あるので、九龍の下町が好きな人は覚えておいて損のない宿だと思う。


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