世界、大人の社会科見学!

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韓国

2015 2泊3日弾丸ソウル5 到着日を充実させようと、ちょっとがんばってBIABPを見に行った件

2016/08/22

 
私が宿に荷物を置くとすぐに鐘閣に繰り出したのは訳があった。2泊3日、いや到着日の夜と翌日しかないソウル観光の密度を濃くしようと、ノンバーバルパフォーマンス、面倒くさい言い方だなこれ、非言語依存ショーのBIBAPを予約しておいたのだ。BIBAP専用の常設劇場である鍾路シネコア劇場は地下鉄1号線の鐘路3街が最寄り駅だが、同じく1号前の鐘閣駅や2号線の乙支路1街や乙支路3街も十分に徒歩圏だ。

韓国の非言語劇のはしりであるNANTAが初公演を行ったのが1997年、その大成功に続こうといくつかの非言語劇が登場したり消えていったりする中、BIBAPは2009年の初公演以来6年間も生き残っている成功例の1つだ。

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この鐘閣シネコアビルでは、以前JUMPを見た記憶がある。JUMPは今は明宝アートホールに引っ越してしいるがまだ公演を継続している。つまりは、その、なんだ、同じ資本と会社が関わっている、ってことなんだろうな。ちなみにこのBIBAPの総監督チェ・チョルギ氏はNANTAの演出家でもあって、韓国の非言語劇は結構狭い世界じゃん、でもある。

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狭い世界の人たちが近い資本で繰り広げるこの種の公演は、悪く言えば根本に同じような発想が見える。それは皆無と言って良いストーリー性だったり客イジリも当然のウケ至上主義だったりするのだが、それが楽しいことも事実だ。特にお金や時間を使う帰気まんまんの外国人旅行者には、格好のアトラクションだったりする。なんだかんだ言って、私もナンタ以降発表された韓国の全ての非言語劇を見た。ナンタも数回見たことも告白しておく。そんな私にBIBAPがどう見えたかというと、「NANTAの今風の焼き直し」だ。

「焼き直し」と書いたのは悪い意味ではない。NANTAであまりに必然性がなかった"dumpling challenge"のような要素をそぎ落とし、2009年頃にはまだトレンドだったボイスパーカッションのMCを導入し、客イジリの手順も洗練させ、そして主たる観覧客である日本と中国圏の料理を大きく取り上げ「イチ、ニ、サン」「イー、アール、サン」と客席に呼びかける。観光客によって複数キャストによる常設劇場が維持できている現実をしっかりと認識し、見事にその事実に対応しているのだ。

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焼き直しなのだから、当然今までの公演の良いところは継続している。
会場に入るまでの階段や廊下にテーマ的な装飾を行ったり、

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専用劇場を効率良く運用するため、毎日マチネとソワレが成立する複数キャストを確保していたり、

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公演後にはくたくたのキャストが観光客と笑顔で記念撮影をしたりする。

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これはプロの仕業だ。

過去の非言語劇の中には、演劇としての質を高めようと客いじりを控えたり演出だけで勝負しようしていた(印象を受けなくもなかった)ものもあったが、そのいくつかは消えていった。どんなに良くできたステージだって、1000万人しかいないソウル市民だけで何年間も劇場を埋めることは不可能だ。「常設劇場による公演の継続」を可能にするためには外国からの観光客を相手にするしかない。初めてそれに成功したのがナンタで、それを更に外国人観光客向けにしたものがビバップだ。(と、個人的には感じる)。見事なステージで立派な経営だ。

しかし集客は楽ではない。この日は土曜日夜の公演だったにも関わらず、客席は3割程度の入りで、その9割以上は外国人韓国客、韓国人客は2人だった。

問題は90分のショーでW40000-60000というチケット価格ではないかと思う。ラスベガスでシルクドソレイユのショーを見ても一番安い席なら$70台であることを考えると、特にこの円安の時期には「少し高いかな?」と思わないでもない。

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最もそのことは公演を行う側も良く分かっているようで、予約サイトを通せば30%程度は安くなるし、クレジットカードを見せればJCBでも10%位安くなる。団体客も積極的に誘致しているようだ。そうしなきゃ生き残れない現実もあるのだ。観光客によって成り立っている常設公演は、ナンタの様に「有名な定番」になれないといつかは消えていくしかない。ショービジネスの世界は厳しいなぁ、なのだ。


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