2016丹東17 陸路の中朝国境 -黄金秤- を探して303番の市バスに乗った件
2016/08/28
黄金秤、という土地がある。
丹東駅から南に約20km、例によって北朝鮮が実行支配している鴨緑江の中州なのだが、このエリアでは鴨緑江もそれなりに川幅があり、しかもこの中州は北朝鮮側ではなく中国側にくっついている。どちらかというと中国領であるほうが自然な地形なのだが、かつて地図上で川とされた中州を含む地域については、第2次大戦後北朝鮮が実行支配するようになっている。そんな土地が黄金秤だ。
(例によって、地図左下の切り替えアイコンをクリックすると、中州の位置が分かりやすい)
中国に隣接していて北朝鮮に遠いとはいえ、ここも例によっての中州なのだが、2012年、中朝両国が「黄金坪・威化島経済特区」の構想を発表した。こんな小さな中州で、と思って当然だが、足下の不安定な金正恩政権が経済重視のモデルケースとして打ち上げたようなのだ。北朝鮮本土との間に川があるのも、都合が良かったのかもしれない。
最もこの「経済特区」構想も例によって半放置状態で、上のグーグルマップを拡大してみても、民家以外の工場っぽい建物はひとつしかないし、稼働している様子もない。私はここを見に行きたかった。
香港SIMを入れたタブレットで百度地図を検索すると、丹東市南部振興区にある「丹東港文化体育中心」が、国境線「濱海公路」添いの黄金秤の北端まで歩ける距離であり、体育館北数百メートルの「丹東市委(市民服務中心)」まではホテルの前や駅前から市バス303番で移動できることが分かった。運賃は2元、まずは乗ってみるしかない。
バスは新鴨緑江大橋のある丹東新区を更に南下する。
新鴨緑大橋は、高速道路のようにかなりの陸地部分を専道路を走る。バスのなかからその道路の様子をちらっと見ることはできたけれど、撮影はし損ねてしまった。まぁ、車1台通ってないんだけれど。新区の中心部だって、人は皆無、とは言わないまでも、間違っても賑わってはいない。新鴨緑大橋が開通してこその「新区」なのだな。
百度地図と車窓が、バスが「丹東市委(市民服務中心)」に着いたことを示す。ここでバスは右折し、黄金秤方向から遠ざかってしまうようなので、慌てて降りる。「市民服務中心」というバス停のようだ。終点まで乗ってしまうと、よく分からない内陸部のどこかに連れて行かれてしまう。
それにしてもこのあたりは殺伐としている。原野に無理矢理道路と建物を作ってはみたものの、誰もやってこないので半ゴーストタウンと化しているような場所だ。中にはここにある大型集合住宅の販売ショールームもあるけれど、客は誰もいない。黄金秤の経済特区計画を受けての開発だったのかもしれないが、まるでうまくいってないように見える。新区より市街地を離れた振興区であるせいかもしれない。
とにかく目印は「丹東港文化体育中心」だ。国境添いを走る「濱海公路」の入り口にあたる大きな建物だし、この周辺は半原野なので、すぐに見つけることができる。
この対面はもう北朝鮮領の黄金秤に近いはずなのだが、
まだ国境との間には川(というか沼?)がある。多分沼の向こうに見える柵の先が北朝鮮なのではないかと思われる。せっかくの陸路国境を見ない手はないので、私は濵海公路を南の東港市方向に歩き出した。
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