世界、大人の社会科見学!

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中国

2017中国新疆5 人口14億の中国で、僅か3万人だけが使う満州文字"シベ語"を見に、イーニン郊外にある察布查尔(チャプチャル)の街に出かけた件

中国には満州語を話す人が10人いるらしい。

デマカセを言っている訳じゃない。2015年のユネスコの資料にちゃんとそう書かれている。

http://www.unesco.org/languages-atlas/index.php?hl=en&page=atlasmap&lid=454

10人というのはまた微妙な数で、少数言語の学習人口としても少なすぎるし、生活言語だと考えればこの10人が寄り添って生きていかなければならなくなる。ここはやはり「ネイティブとして話すことができる人の数」くらいに考えておけば良いのだろう。

広い中国には50以上の民族が住んでおり、満州族(満族)の人口は1000万を超える。しかし清代には満州族の文化は中国文化と同化していった歴史がある。清朝の滅亡後その勢いは強まって満州語を話す人はどんどん減り、今では話す人の居なくなる ”Critically endangered” (消滅危機言語)となっている。

いや、2015年に10人じゃ、既に消滅してるのではないだろうか?

しかし満州語を表記した満州文字は実は今でも使われている。正確には「満州文字を改良した」文字ではあるけれど、それでも未だに満州文字は生きていて、新聞や本が出されていたり、街の交通標識に書かれていたり、この文字を使った教育もなされている。それが、イーニン郊外、察布查尔(チャプチャル)で話されているシベ語だ。シベ語は、3万人に話されている。

14億以上の人が住む巨大な中国で、僅か3万人しか話さないシベ語が生活言語として生きていることは、奇跡と言って良い。

 

察布查尔(チャプチャル)は市ではない。中国で「市」と言った場合日本で言う「県」規模の広さになることも少なくないが、察布查尔は「鎮」、察布査爾鎮となる。中国でいう「鎮」は、そうだなぁ、各駅停車の鉄道で一駅行けば次の鎮、くらいに思っておけば間違いない。

融通を利かせずに住所を書くと、察布查尔は、「中華人民共和国新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州、チャプチャル・シベ自治県、察布査爾鎮」ということになる。チャプチャル・シベ自治県は中国唯一のシベ族自治区でその人口は16万5千人(2003)、 察布査爾鎮には数万の人が住んでいるのだろうと思う。

 

イーニンから察布査爾鎮までどう行けば良いのか全く情報はなかったけれど、コルガスからのバスが到着したバスターミナルに行けばなんとかなるだろうと考える。

案内を読んでもどのバスが察布査爾を通るのか全然分からない。そこで、百度地図で拾った地名をメモに書いて、窓口の係員に見せてみる。すると「ああ、あそこね」とばかりに乗車券は買えた。

検票口1番、集票所43番、バスの番号は506、お値段は5元、座席番号は1番。バスは1時間に1-2本走るらしい。

中国にしては比較的こぎれいなバスだ。よしよし、これに乗れば生きている満州文字が見られるのだな。胸がどきどきするぞ。早く見てみたいぞ。

あ、見えました。

こちらの心構えが出来る前にいきなり登場した満州文字のシベ語に、微妙な感動のタイミングを奪われる。空気の読めないバスだ。

気を取り直して、車内に乗り込む。よく分からないが、バスの前には「察布査爾」に何らかの関係があると思われる漢字が2カ所に2文字ある。頼むよ。

10分も走ると、バスはイーニン南部を流れるイリ川を渡る。

そして検問所。新疆はただ事ではなく荷物検査や検問が多い。時節柄ということもあるのかもしれないが、バスや鉄道のみならずショッピングモールや宿泊しているホテルに戻る時ですらセキュリティチェックを受ける。そしてイーニン郊外にも常設っぽい検問所があった。車両によっては車の下まで検査をされている。

車窓の看板にシベ語が登場した。シベ語、ウイグル語、そして中国語が並ぶスローガン看板。新疆ならではだなぁ。

市街地らしきエリアに入ると、もともと少なかった乗客は私だけになった。運転手は私を見て「どこで降りる?」とも「ここが察布査爾だぞ」とも思える表情で話しかけるので、乗車券を購入したときのメモを見せると「ああ、ここだ」と言わんばかりに降ろされる。

なるほど、テレビ塔もあるし、ここが街の中心なのだろうか?まぁよい、とりあえず人が多そうな場所を探して、シベ語の街を歩こうじゃないか。

ちなみにシベ語に関する本は日本には皆無に等しいが、シベ語のモダリティの研究 [ 児倉徳和 ]という外語大AA研の先生による書籍が、2018年の4月13日、つまりついこの間発売された。

BOOKデータベースによると、「中国・新疆ウイグル自治区で話されるシベ語は、いまなお話され続ける満洲語の一変種として知られる。シベの人々の頭の中で、情報や知識はどのように処理されているのか?シベ語は彼らの思考とどのように関わっているのか?フィールドワークで出会った日常のやりとりを手掛かりに、日本人研究者がシベの人々の思考とシベ語の文法システムを探る、モダリティ研究への挑戦。ことばのダイナミズムを存分に味わうことのできる一冊」とある。

読んでみたい人も多いだろうけれど、この本ややお高く12960円する。出版されたばかりのせいか、近所のどの図書館にも置いていない。500ページ近い力作なので立ち読みも辛そうだし、やっぱり国会図書館しかないのかなぁ…

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