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中国

2017中国新疆6 察布查尔(チャプチャル)で中国でもこの街だけで使われる満州文字を堪能した件

2018/05/09

中国伊寧(イーニン)郊外の察布查尔(チャプチャル)には、中国でもこの街だけで使われている満州文字の言語、シベ語がある。

伊寧からのバスを降りると、そこはもう生活圏にシベ語がある世界だ。

察布查尔はカザフスタン国境に近い中国西部の街なのに、どうして中国東部にあった旧満州の文字が使われているのかというと、そこには歴史がある。

1764年、清朝6代皇帝である乾隆帝より国境エリアの警護を命じられた1016人のシベ族兵士が、1年9ヶ月かけて満州・瀋陽からこの地に移住した。現在の新疆シベ族の起源はこの兵士とその家族であり、その子孫たちが満州語を話し満州文字を使い続けてきた。そして、中国東部で満州語が消滅した現在でも、この地では約3万人の人が満州文字と満州語に近いシベ文字を使い続けているのだ。

これは、地味に凄い話だと思う。

たった250年程前に移住をした1016人が出身地の言語文化を守り、清朝の滅亡や中華民国/中華人民共和国の成立など波乱の歴史の中、今ですら3万人しか話さない少数言語が「生きている言葉」として生き残ったのだ。しかも、今確認したら windows 10 でも表記できる。

「ᠰᡳᠪᡝ ᡤᡳᠰᡠᠨ」

 …横書きになったけれど。

せっかくこんな場所まで来たのだから、この満州文字/シベ語を楽しまない手はない。

正確に言うと、シベ語=満州語ではないらしい。日本語版ウィキベディアには「満州語とおおよそ互いに意思疎通ができる」とあるから、方言の一種のようなものなのだろう。

生活言語が形を変えるには250年は結構十分な時間だし、本家の満州語がなくなってしまったのだから、すり合わせるも修正もできない。むしろ、シベ語こそが生きている「満州語」ではないかとすら思う。

東部の満州文化は、満州族自らが建国した清朝発展とともに漢の文化と融合・消滅していった。この地に満州語が生活言語として残ったのは、察布查尔がこのような辺境だったから、そしてここがウイグル語や中国語も話される複数言語のエリアだったから、と考えるのが自然だろう。

ちなみにチャイナモバイルは、シベ語だとこう書く。

看板にシベ語が書かれた本屋があったので、中を覗いてみた。

お、これはシベ語の書棚だな?

かつてシベ語は活字を持たなかったと言われているのだが、PCが進化した今では、活字時代より出版は容易になったのだろう。どの本も手書きベースの印刷ではなかった。

小さな市場があったので、中を覗いてみる。

イスラムでは禁じられている酒や豚肉も市場で普通に売られている。カザフ国境のコルガスで食器を借りたとき、明らかに漢民族のスタッフが「豚肉は入れないよね?」と確認したことを思えば、察布查尔がイスラム文化圏ではないことがよく分かる。この街は中国新疆の中でも特にイスラム色が薄い。

新疆では中国語とウィグル語が併記された看板は多い。しかしここチャプチャルでは、それにシベ語を加えた豪華な看板を見ることもできる。

満州語≒シベ語を堪能し、冷刀削麺の昼食。冷たい刀削麺って初めて食べた。

中国の食堂には「安全等級公示」という表示があるのだが、ここには中国語、ウイグル語、英語はあってもシベ語の表記はない。この辺がシベ語の実勢力、なのだろう。

昔聞いた話では「察布查尔ではシベ語で初等教育が行われシベ語の新聞もある」とのことだったのだが、新聞は発見できなかったし、初等教育の方も怪しい気がする。今の中国ではどんな地域でも子どもたちはCCTVを見て育つし「シベ語も教える」位が正解なんじゃないだろうか。

今中国の人工は約14億、その中で3万人だけが話すシベ語が生き残っているのは少数民族保護政策の一貫だと、イーニンに向かうバスを待っている時話した大学生は言っていた。

まぁ、実際そんなところだろう。しかし中国でシベ語しか話せなければ就ける仕事も限られるだろうし、生きていくのに現実的じゃない。私がチャプチャルで子供を育てたら、絶対に普通話で育てるし、普通話の学校に通わせると思う。文化を守ることは大切だけれどそれだけじゃ喰ってはいけない。

実際、チャプチャルを15m離れ伊寧に入ると、中国語とウィグル文字は目に入っても、シベ語/満州文字は1字も見かけることはなかった。

シベ語は本当に察布查尔(チャプチャル)だけで話される言葉なのだなぁ。

シベ語を話すのは約3万人と言われているけれど、シベ族の人口は約18万8000人。遼寧省のシベ族はもうシベ語を話していない。

ちなみに私が新疆のシベ族を知るきっかけとなったNHKの新シルクロード2では、シベ語ではなく「シボ語」と紹介されていたが、ここでは日本語版wikipediaにあった「シベ語」の記載に従った。英語表記では”Xibe” の他 ”Sibo”, ”Sibe”, ”Xibo”などがある。

もちろんどちらが正しいかなど私には分からない。

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