世界、大人の社会科見学!

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中国

2017重慶9 渣滓洞から松林坡まで歩き、楊虎城将軍一家が殺害された現場を見た件

渣滓洞から重慶国民党政府の刑務所跡を見て回るには、渣滓洞 → 松林坡 → 白公館 → 紅岩魂陳列館 と巡るのが下り坂が多くて良い。逆方向だと山登りになってしまう。

渣滓洞を見学し終えた後は、梅園近くを通り松林坡を目指す。約1.4km、20分少しの歩きだ。

途中、彫像が並ぶ場所がある。烈士彫塑区、これらは全てここで犠牲になった人たちの彫像のようだ。彼らは「烈士」、中国の英雄だ。

車の走る道路を歩いても良いのだが、歩行者にはもう少し歩き甲斐のある道もある。手書きの案内に従い、散歩道のような細い道を行くと松林坡に出る。多少の上り下りはあるけれどそんなにきつい道ではないし、車の排気ガスを吸うこともない。

松林坡にはいくつかの見学施設があるが、ここは西安事件の首謀者の一人である楊虎城将軍が妻子と共に幽閉され、重慶陥落の直前、その全員が殺害された場所、として知られている。

蒋介石を幽閉しようとした西安事件の首謀者である楊虎城将軍は、中華人民共和国では英雄の一人だ。もう一人の首謀者である張学良も南京に幽閉されたのだが、懲役10年となり極刑は免れた。まぁ楊虎城も極刑の判決を受けたわけでなく幽閉場所で殺害されたのだが。

楊虎城の妻は10年に及び各地での監禁生活の中病死し、ここ松林坡では楊虎城と監禁場所で生まれた幼い子、そして秘書の6人が惨殺された。

楊虎城の子「小蘿蔔頭」(簡字体。日本の文字だと「小夢ト斗」に似ている) は監禁場所で生まれ、外の世界を知らないまま監禁場所で殺害された。この幼い子のあまりに悲しい死は涙を誘う。幽閉されていた屋敷の窓から見えた町並みに、この子は何を思ったのだろう。

松林坡には一家の殺害現場や慰霊の部屋の他、ここで起きたことを紹介する資料館もある。張学良や「小蘿蔔頭」については、ここに詳しい。

国共内戦では多くの死者が出た。日中戦争の死者数より多かったという説もある。この時期の戦争で多くの死者がでたことは間違いないし、犠牲者は張学良の一族だけではない。むしろ渣滓洞に収容された人たちに比べれば、張学良は優遇されたと言っても良いかもしれない。

しかし、それでも幼い子どもの命が奪われることは悲しい。この時代、重慶で戦争で死んだ子どもは「小蘿蔔頭」だけではないだろう。

どんな時代でもどの国でも、せめて幼い子どもくらいは幸せに暮らせれば良いのにと思うのだけれど、いつになっても実現しない。

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