2017重慶12 広大なパラダイス・入場無料の脱力系テーマパーク「美心洋人街」でいろいろと呆れた件
重慶ではここまで、歌楽山北部の悲惨な現代史の現場ばかりを見てきたが、もちろん中国で一番人口の多い市、別方面でも興味深い見学場所はいろいろある。そのひとつが無料の脱力系テーマパーク美心洋人街だ。
宿のある副都心の観音橋から長江の東側にある美心洋人街までは、都心を通らずに乗換なし2元で行ける163番、816番のバスで約50分、これが一番安くて便利、しかも歩く距離も短い。
美心とは1989年に設立された会社で、ドアや建材、自動車/オートバイ部品等の販売で成功し、今や100万人の従業員を擁する総合企業だ。その美心が12年前に「美心长江风景区」として開発したのがここ美心洋人街なのだそうだ。まぁ、川沿いの一等地、観光資源として利用するという発想はあながち間違ってはいない。
163番のバスを降り、洋人街の東南門を眺める。
「すみません、ソーセージマフィンとコーヒーのコンビ下さい」
だっからさぁ、こういうところがだめなんだよ。別にものすごく素晴らしいものを作る必要はないけれど、「明らかにパチモン」がまずいんだよ。
もちろん「これは別に有名なハンバーガーチェーンのキャラクターじゃなく、一般的なピエロをモチーフとしたものです」的弁明はあるのだろうけれど、世界はそんなに甘くはない。「またあそこがパクりをやってる」としか思わない。
施設は別に金がかかっていない、という訳じゃないのだ。例えば隣接する高層アパートからはパークの中までゴンドラとリフトが運航されている。
さすが美心集団のプロジェクト、豪勢なもんだ、なのだ。多少の期待感を持ってパークまで歩く。
ほう。
ほう。
ほう。
美心洋人街、確かに規模は大きい。東南門ゲートから長江沿岸までの約6-700m、幅は200-300mだろうか、このエリアが全てテーマパーク、というか、その、まぁ、なんだ、とりあえず遊園地になっている。そしてありがたいことに入場は完全無料だ。
ゲージュツ作品だって鑑賞できるし、
多分、夏はプールの場所でボート遊びはできるし、
茶色い水の池では釣りだってできるし、
ほとんどの店が同じメーカーから仕入れた冷凍食品の串焼きだって楽しめる。冷食が入っていたビニールパックをそのまま店の裏に放置していては、そんなことまで客に知られてしまってまずいのではと思うのだが、売る側はあまりそんなことは考えないらしい。そうだね、冷食の方がむしろ安心かもしれないね。
子どもたちがまだ小さかった頃中国の遊園地にも連れて行ったけれど、まぁ基本的にはこんなものだ。それは2017年の今でも全く変わっていない。何は変わっていないのかうまく言葉がみつからないけれど、あえて近い言葉を探すのなら「ぱっとしない」だ。
一応遊園地らしい乗り物だってないわけじゃない。
規模の小さいものもあるけれど、それでも日本の地方都市の遊園地より、遊具的には充実していないでもない。
それなのにどうしても「ぱっとしない」感が漂ってしまう理由は、清掃とメンテなどの問題もあるだろうけれど、この国特有笑顔の少なさや「おもてなし」精神の少なさも無関係ではないだろう。
うさんくさいアトラクションも多いけれど、
それなりに面白そうなアトラクションだってあるのだ。
アトラクションの数は結構多く、全てを体験しようとすれば1日がかりになる。釣りまで本気でやっていたら1日じゃ足りないかもしれない。
もっとも全てのアトラクションは基本有料なので、かなりのお金はかかる。1アトラクション20-30元程度と私にとっては1食を超える価格で、そうそう手が出ない。というより、何にも乗らなかったのだけれど。
正直「こんなパッとしないものにお金を落とす気持ちになれない」くらいの印象だったのだけれど、実は運営側も施設があまりパッとしないことを理解しているのか、3ヶ月前にはこんなニュースがあった。運営会社が洋人街を移転しはじめているらしいのだ。まぁこれじゃ企業イメージ落ちかねないしな。
重慶には他にも魅力的なアトラクションがある。例えば南部の万盛区には、美しい峡谷の近くにはシャレにならない絶叫アトラクションのテーマパーク"Wansheng Ordovician Theme Park"があり、人々は180元(≒3025円)支払って恐怖のアトラクションに行列を作る。
しかし、しかしだ、パラダイスにはパラダイスの味わいもある。そしてここ美心洋人街には、「とにかく話題になればそれで良い」と考えたとしか思えない、「性の遊園地」と「世界最大、最強のトイレ」なる珍展示もあったのだ。
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