2018香港スワトウ5 再開発の嵐が吹き荒れる汕頭老街で結構がっかりし、裏通りで必死に古い建物を探した件
2022/10/03
今回香港からの訪問先をスワトウ(汕頭)にしたのは、ここの老街が今瀕死の状態だと聞いたからだった。
漁港だったスワトウは、ヘン戦争後の1860年治安の悪化した潮州港に取って代わる形で開港され、その後外国との交流の中で洋風の建物が増えた。その多くは「騎楼」と呼ばれる1階部分を歩道とした建物になっており、この古い騎楼が続くエリアはスワトウでは「老街」と呼ばれている。
しかしその老街が、今再開発で台無しになりかけているらしい。
再開発が終了してしまっては大変と、まずは老街の起点となる「小公園」までやってきた。
老街はスワトウの金融の中心地であり、1930年代には小公園を中心とした都市が形成されていたらしい。 そして小公園のすぐ南には、百貨店だった古い建物がある。
うーむ、なんだか安っぽい。建物は間違いなく19世紀の物なのだけれど、塗装がチープなのだ。どうして19世紀の塗装をそのまま保存ができなかったのか、残念でならない。
近隣の建物も間違いなく19世紀の騎楼なのだけれど、再開発工事のために砂が盛られている。道路は石畳、ではないな、コンクリート畳で舗装され、これもたいそう味気ない。2018年11月、老街の大通りでは、貴重な騎楼を味も素っ気もない建物に作り替える再開発工事が、街中で行われている。
うーむ、おじさんは結構がっかりだ。建物を保存して残してくれるのはうれしい。うれしいのだけれど、なんというか、その、もう少し昔を偲びやすい保存方法はなかったのだろうか、と思う。文化や考えの違いと言えばそれまでだけれど、残念でしかたがない。
しかし幸運なことに、まだ手つかずの古くて美しい建物も生き残ってはいる。こちらは安化粧の厚塗りをしたような復旧済みの騎楼とは違い、風格と品位が漂う。こういう建物が一つもなくなっていたら、私はスワトウ老街にがっかりしたままだっただろう。
スワトウの老街は、小公園を中心に放射状の道と同心円状の路地で構成されていた。この形態は「九龍吐珠」呼ばれるらしい。その九龍吐珠の騎楼もない裏道に入ってみる。
かなりの建物にはもう人は住んでいないけれど、それでもまだここで生活している人もいて、生活感のある古い裏路地になっている。とても雰囲気は良いけれど、これがスワトウ特有の光景かというと、それも微妙などころかもしれない。中には崩れかかったものも多く、そんな建物には「危ないから近寄らないでね」のサインが出ている。
もう一度書く。2018年11月、スワトウの老街は再開発のまっただ中にあり、表通りは既に瀕死の状態だ。今残っている魅力的な建物だって、いつ安化粧がされるか分かったものじゃない。もしかしたら19世紀の匂いが残る汕頭老街を見るなら、少し急いだ方が良いのかもしれない。
今なら香港/西九龍から潮汕駅まで3時間だし。