2018おおるり④ 熱川唯一と言って良い観光施設「熱川バナナワニ園」が予想以上に楽しめた件、と熱川シーサイドホテルの夕食
2022/10/03
熱川バナナワニ園は1958年(昭和33年)にオープンした老舗の観光施設だが、その設立の経緯がすごい。
公式サイトには、”熱川バナナワニ園は約60年前、まだ珍しかったバナナを展示する園をつくろうと創業しました。その当時、動物商からアドバイスとして「バナナだけじゃだめだ、一緒にワニも展示したらどうか」という言葉をかけられたことで、バナナとワニを合わせて展示する「熱川バナナ・ワニ園」が誕生しました”とある。
「バナナを展示する」という発想も驚きだが、「一緒にワニも」と言った動物商もすごい。”バナナを栽培するために温泉の熱を利用するのだからだったら熱帯の動物を”ということなのだろうが、どういう理由なのかワニと言い切ることがすごい。他にも熱帯の動物はいろいろあるだろうに。
まぁ狭い熱川で他にすることのなかった私達は、スマホに200円引きのクーポンを偲ばせてバナナワニ園に出かけてみた。
うーむ、なんというかとても心が通じ合わなそうな顔をしている。
しかし見ている分には大変に面白い。心の通じ合わない印象と少ない動きがいかにも不気味で、それが良い。こちらは好奇心の対象としてワニを見ているが、ワニはきっと「食える食えない」でこちらを見ている、そんな気持ちになる。
もしこのワニ達が柵を乗り越えたとしても、きっと私達は友達にはなれない。
飼育員さん曰く「私はワニたちがとてもかわいいのだけれど、背中を見せると私を喰おうとするのが残念だ」。昔ラジオか何かで聞いた話なのだけれど、絶対に作り話だな。
ワニ園の横には熱帯魚園があり、ここではドクターフィッシュがいて指の角質を食べてもらうことができる。私は初めてドクターフィッシュ体験をした。
今更角質がどうのとは言わないが、の刺激が神経を活性化して健康にも良いのだそうで、ここはひとつ最近様子の怪しい神経を思いっきり活性化していただく。
バナナワニ園は本園、分園、そして植物園があり、その規模は予想以上に大きい。レッサーパンダやゾウガメのいる分園までは送迎のワゴン車に乗る。
植物園もなかなかの規模だ。
マナティではないか!世界でも展示例の少ないアマゾンマナティが、ここバナナワニ園では植物園の一角でさりげなく展示されている。
実はこのアマゾンマナティ、50年前の1969年にバナナワニ園にやってきたのだけれど一昨年まで名前すらなく、2017年の5月にやっと名前を公募するという、実にのんびりしたエピソードがある。
公募の結果「じゅんと」くんという名前をもらったのだが、50年間良く名無しで放置できたものだと思う。非行に走らなかったアマゾンマナティも偉い。魔物ではないので、もちろん名前をもらっても急速な進化をするわけではない。何の話か分からない人は「転生したらスライムだった件」を参照されたい。
売店には思ったほど野暮ったくない土産物や、バナナラムネなるものも売っている。もう少し安かったら飲んでみるのにな。
熱川バナナワニ園のことを、実は私達はなめてかかっていた。まぁ「どうせ時代に追いつけない温泉地の観光施設」くらいに思っていたのだ。しかしバナナワニ園はなかなか充実した施設だった。
本園と分園に分かれた広い敷地には、見ていて飽きないワニを初めレッサーパンダやゾウガメ、ドクターフィッシュやアマゾンマナティもいるし、植物園もかなりの規模で植物好きな人には楽しめるだろうし、バナナラムネなる謎の飲み物も飲める。
併設されたフルーツパーラーでは「バナナワニ園のものではない」バナナもつかったデザートがいただけるけれど、ここだけは温泉街の観光地的に若干お高めな気がした。
どうせ園内のモノを出さないのなら、いっそワニ肉を出せばいいとも思うのだけれど、そんなことを言ったら飼育員さんに怒られそうだ。さぁおおるりに帰ろう。
熱川シーサイドホテルは激安温泉おおるりグループの中では最高峰のホテルなので、普通有料のバスタオルやひげそりが着いてくるだけではなく、夕食も少しだけ良い。基本は他の宿と変わらないのだが、ここでは小さいながら金目の煮付けが出る。
お刺身がセルフなのはよそと変わらないけれど、少しだけ種類が多い気がする。
まぁいつものプラスチック皿に盛れば、揺らがないおおるりの食事、なのだけれど。もちろん私はこれで十分満足だ。
海を望む部屋には波の音がよく聞こえる。熱川は東伊豆でも比較的波の大きな海岸なのだそうだ。部屋から日の出を眺め朝風呂へ。
あまりに熱川の街になにもないせいか、ホテルの中にはコンビニがある。いや、ホテルの売店がコンビニと言うべきだろうか。最近24時間営業問題でもめたコンビニチェーンもあったけれど、この店は朝8:00から夕方16:50までの営業で、あまりコンビニエントではない。
週末の東名はいつも混雑するけれど、この日の上り線はいつも以上の渋滞とのことで、バスは伊豆スカイラインを通るのだそうだ。11:15の出発まで街と海を散歩し、湯けむり号へ乗り込む。
復路もグランパル公園でランチかよ、なのだけれど、ここは潔く往路とは違う海鮮丼などを食べてみる。こういうところこそコンビニでいいのにな。
海岸線で帰ることはできなかったけれど、スカイライン経由も悪くない。運が良ければ富士山も見えるかもしれないルートだ。
そして何よりすごいのが、バスがちゃんと5時間後には上野に着いたこと。どんなに渋滞していてもルートをいろいろ工夫して定刻に到着するなんて、これぞプロの仕事だ。
往復1300円(今は1633円)、時期によっては500円だったり800円だったりする湯けむり号、なかなかやるじゃないか、だ。せっかくの上野、久しぶりに蓬莱のトンカツでも食べて帰ろう。
おおるりの週末、楽しいじゃないか!