世界、大人の社会科見学!

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グルジア コーカサス ジョージア

2018ジョージア5 「復讐の塔」を眺めながらメスティアの街を歩いていたら、これが『復讐の』塔だというのは半分くらいは日本だけで語られるデマじゃないかと感じた件

 

宿についてもまだまだ外は明るいので、復讐の塔を巡りながらメスティアの街を歩いてみる。

アッパースヴァネティ・メスティアと言えば「復讐の塔」、旅行者はこの塔のある光景を見たさにここに来ると言っても半分くらいは本当だと思う。

8世紀頃から建てられ始めたというこの塔は、日本語だと「復讐の塔」と呼ばれることが多い。どうして「復讐の塔」なのかというと、それは「サヴァンには身内が殺されるなどした場合には復讐をするという文化があるため、復讐されるときに備えて立て籠もる塔だから」なのだそうだ。

でもさぁ、本当に復讐から逃れるためだけに塔を建てるか??

日本語でやたらと飛び交う「復讐の塔」の元ネタは、多分2010年に発売された旅行人のコーカサス特集号あたりだと思う。また編集長もブログで「血の掟」についてこう書いている。

「この地では一世帯で一つの塔を建築するのは、いわゆる「血の掟」という因習が存在するからだ。自分または家族の一員に危害が加えられたら、必ず相手またはその家族に復讐を果たさなければならない。だから、別の家族を敵に回すおそれがあるので、一つの家族単位で防御しなければならなかったのだ。」
http://d.hatena.ne.jp/kuramae_jinichi/20101003/1286123550より引用)

「血の掟」という恐ろしい言葉は確かに存在する。例えばマフィアが使っていたようだし、アルバニアにはジャグマリャとかカヌンとか言う歴史的な掟もあるらしい。

しかしいろいろ調べたり聞いてみたりすると、この塔は必ずしも「『血の掟』で報復される際に備えた立てこもりの用の塔」ではないように思えてきた。そのためだけに塔を建てることはかなり不自然だし、それまで不自然だと考えなかった自分にもちょっとがっかりした。

現地でツアーガイドさんの話を近くで聞く機会が何回かあったのだが、塔の説明については「復讐」や「血の掟」的な生臭い話はなかった。「普通に侵略に備えて」作られた的説明だけで、更には「100年位前までは、例えば娘を嫁に送り出すとき『塔もないような家には嫁に出せない』というような、財力の象徴だった」という。まぁ塔を建てるのには金はかかるからねぇ。

コーカサスは昔から紛争の絶えない土地だった。更にはアッパースヴァネティでは金取れ、金とその採掘技術を手に入れようとする侵略者も多かった。「復讐の塔」は基本的に「侵略者から身を守るための防御の塔」だと考える方が自然のような気がする。

「復讐の塔」のほとんどは個人の家にありその外側しか見ることができないが、街を歩くとオールドハウスというカフェ兼ホテルの近くに、有料でその内部を公開しているものがあった。

お値段はというと2ラリ(≒80円)。払います!払うから「復讐の塔」の中見せて下さいっ!!

有料で公開しているだけあって、塔の内部は多少のメンテナンスはされている。1階の天井なんかは「最近木で補修したばっかりです」といった感じだ。


最上階には噂通り下向きの窓がある。なぜ下向きなのかというと、これこそ侵略者に向かって石などを落として抵抗するためのものであり、時には熱湯をかけることもあったのだそうだ。



もちろん下向きではない窓だってある。たいした高さの塔ではないけれど、それでも眼下に広がるメスティアの街は美しい。

わずか2ラリで8世紀からの歴史を持つ「復讐の塔」の内部を見ることができ大変満足した私は、更に北東にメスティアの街を歩く。「古い家は東北に多い」と聞いたからだったし、そこには旧ソ連時代に有名だった登山家の博物館もあると聞いていたからだ。

2ラリで塔に登ることができるオールドハウスカフェから歩くこと17分、そこには”Mikheil Khegiani House Museum” があった。

ミハイル・ヘルジアニはソ連で7回のクライミングチャンピオンになった有名な登山家で、イタリアで事故にあって亡くなった後、故郷であるこの村に葬られ博物館が建てられたのだそうだ。そのため博物館も登山家ミハイル・ヘルジアニに関する展示エリアが大きい。


申し訳ないのだけれミハイルさんについて何も知らない私とってここは「とても興味深い」博物館とは言いにくい。しかしこの博物館には別の魅力が2つある。1つはメスティアの少し昔の生活を見ることができる部屋があること、だ。

1階にあるこの部屋は昔、といっても数十年程前まで住居として使われてきた。暖炉のようなアーチの向こう側は牛小屋で手前は人間の生活スペース。かつてこの土地では家畜と人間が同じ空間で生活していた。

部屋の中央で火を焚き空間全体を温める。更に厳寒期には、人間は家畜のいるスペースの上で寝た。火と家畜の体温で温められた空気の集まる暖かい場所で眠るのは、中々合理的なのかもしれない。

そしてもう一つ、ここには無料で登ることができる「復讐の塔」がある。



しかもここの塔はその屋根に登ることもできる。


うーむ。この塔の存在を知っていたら、有料のオールドハウスカフェの塔には登らなかったかもしれないなぁ。重ね重ねミハイルさんには申し訳ないけれど、アッパースヴァネティ・メスティアのかつての暮らしぶりを見るためにも、無料で「復讐の塔」に登るためにも、メスティアの中心部から30分歩く価値はある。

帰り道も「復讐の塔」を眺めながら歩く。



メスティアにはたくさんの「復讐の塔」がある。多分その数は100を超える。ちょっと大きめな家にはかなりの確率である、と言っても良い。

そりゃ8世紀からある塔、千数百年の間には「血の掟」と「復讐」に関わるようなこともあったのかもしれないけれど、これらが全て「『血の掟』による報復を恐れそれに備えた塔」だとしたら、メスティアはとんでもないサイコ村だ。

私はゴーゴーアジアから蔵前さんの本を買っていたし、旅行人も特に宮田珠己さんに至っては熱烈なファンだと言って良いレベルなのだけれど、メスティアの「血の掟と復讐の塔」の話についてはあまり納得がいかない。まぁ完璧な情報なんてどこにも存在しないし、それ以前にやっぱりこの塔は「復讐の塔」なのかもしれないし、だけれど。

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