2019大邸/浦項3 九龍浦からマウルバスで「韓国最東端」の虎尾串まで行き、国立灯台博物館と「共生の手」を見た件
2022/10/03
日本人家屋街のある九龍浦から北に10km程行くと、「韓国最東端」の地、虎尾串(ホミゴッ)がある。
地図を見た限り、正確な韓国の最東端はこの経路上に近い「九龍浦석병1리」なのだけれど、虎尾串は分かりやすい岬だし、古くから灯台もあるし、更には「韓国で最も早く日の出が見られる」日の出公園もあったりするので、観光的には「韓国最東端でやらせていただいてますっ」という感じなのだろう。
九龍浦から虎尾串までは「マウルバス」(走行距離が短く比較的低料金の「村のバス」)が出ているというので、九龍浦近代歴史館の日本語ガイドさんの案内もあり、とりあえず行ってみることにする。こんな機会でもなければ虎尾串なんて行かないし。
マウルバスは日本人家屋街から西に150m程いったセブンイレブン前の九龍浦交通センターが始発だけれど、日本人家屋街前にも停まる。朝7時から夜の7時50分まで約1時間に1本の頻度だ。
いかにも「マウル」と言った光景の中を30分程走ると、バスは虎尾串に到着する。新千年記念館などの大きな建物が見えるのでそれが目印になるけれど、乗り込む時運転手さんに「ホミゴッ!ホミゴッ!」と言っておけばより安心だ。
あまり本数があるわけではないので、帰路の九龍浦行きの時間を確認しておく。この何もない道端で1時間バスを待つのはとても嫌だ。
バスを降りて新千年記念館を目印に歩く。ここから岬までは約500m、建物を回り込んで歩くと10分程度の距離だ。
この新千年記念館は展望台や化石の博物館があるらしいのだけれど、残念なことに入場料が必要になるので(当たり前か)後回し。
そしてこの新千年記念館から先が「日の出広場」になる。
そう、虎尾串と言えばこの「共生の手」だ。陸の上と海の中の2箇所に作られたこの青銅のオブジェは、その独特な雰囲気から知る人ぞ知る存在らしい。なんでも金基德という監督の映画にも登場するのだそうだ。
まぁ陸上の手は「普通のコンテンポラリーアート」という感じだけれど、海の中にこれがあるとちょっと迫力がある。巨人が溺れているように見えないことも…、それはないか。
ホミゴッは英語だと ”Cape Homi” になるのだな。多分ブラタモリ的な解説をしている案内板もあって、ジオパーク的な散歩をすることもできるようだ。時間に余裕があれば楽しいのかもしれないな。
そして岬には、1908年に作られた高さ24.6メートルの虎尾串灯台がある。
虎尾串灯台は1908年、日露戦争に勝利した日本が大陸への足がかりを固めるために作ったと言われるが、内部の天井には韓国王家の紋章である梨花文が刻まれてもいるらしい。完成当時は冬外串灯台、1934年には長鬐甲灯台と呼ばれ、虎尾串灯台と呼ばれるようになったのは2002年と最近のことのようだ。
GPSの発達とともに電波航法システムが大きく変容し、かつて主流だったオメガやロランやデッカはもう終焉を迎え、灯台もその数は減ることは合っても増えることはない。国は2013年には328の灯台の廃止を決めた。
ただオメガやロランなどのように電波ではなく、人間の目でも見える「光波標識」である灯台はまだ有益という考えも根強く、海上保安庁などは灯台を維持していきたい方針らしい。こうなると予算の問題だな。古い灯台には現在の安全基準を満たしていないものもあるらしい。維持のみならず修理にもお金はかかるろう。
そしてこの灯台の敷地には、韓国で唯一の灯台に関する博物館「国立灯台博物館」がある。
入場無料の灯台博物館には規模はそんなに大きくはないけれどそれでも3つの建物と野外展示がある。
メインの展示室には館内には、虎尾虎のみならず韓国内の灯台についての解説や展示が並ぶ。灯台を支える電源や照明の技術はこの100年の間に大きく進歩をした。
滅び行くかもしれない灯台とは言え「そろそろLEDもありなんじゃないの?」と思ったら、日本では平成元年から既に採用されていた。まぁこれは小型灯台なのだけれど、平成30年からが釧路の大型灯台で実装実験も行われているとのことで、素人が適当なこと言ってごめん、だった。
エネルギー効率の悪そうな歴代の電球たち。発熱量も多そうでその熱をどう逃がすかも設計上重要だったことだろう。ちなみに日本の場合LEDになっていない現代の灯台では、ほぼハロゲンランプが使われているのだそうだ。
時代を感じる操作盤。「アナログ」では説明しきれない「スイッチの集合体」だ。精度は低そうだけれど修理は楽そう、だな。
中庭のピラミッド状の建物。パネル展示と映像展示が多めになる。
こちらは子ども向けの展示館。内部には「遊んで学ぶ」系の展示が多くある。休日には子どもで賑わうのかもしれないが平日のこの日は人気はなかった。
国立灯台博物館はそれほど規模は大きくはないが、灯台をテーマにした博物館はあまり多くはないので、虎尾串に来たら立ち寄るのも悪くない。それになによりここは入場無料だ。
結局新千年記念館はスルーし、マウルバスで九龍浦に戻る。
そして九龍浦のセブンイレブン前から、200番のバスに乗り込む。
私にはこの日どうしても行っておきたい場所がもう一つあった。POSCOの歴史博物館だ。ここは18時には閉館をてしまうので、どんなに遅くとも16時までには九龍浦を出発しておきたかったのだ。