世界、大人の社会科見学!

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2019モンテネグロ④ ブドヴァではベネチア共和国時代の旧市街を歩き、ドブロブニクまでの帰路にコトル湾フェリーに乗った件

2022/10/03

コトルを出た車は、モンテネグロ最大のリゾート地ブドヴァに向かう。距離にして23km、約30分のドライブだ。

ブドヴァは「モンテネグロのクウェート」とも呼ばれる。モンテネグロもクウェートもよく知らない私としては一体どういう意味だと思わないでもないのだが、「元々の人口が少ない割に、多くの数のミリオネアが暮らしているから」なのだそうだ。

では、どうしてここにミリオネラが住んでいるのかというと、2000年代の不動産ブームの時、地元の旧家がブドヴァと周辺の資産をロシア人、アイルランド人、イギリス人などの富裕層外国人に売ったためらしい。2000年と言えば、モンテネグロの独立に反対するセルビア共和国大統領やユーゴスラビア連邦共和国大統領であったミロシェヴィッチの失脚した年でもあるし、2006年はセルビア・モンテネグロからモンテネグロが独立した年だ。まぁ変革の時期、だったのだな。

ドライバーはそんな「モンテネグロのクウェート」のレストランでランチにするという。「新鮮なシーフードにスープやサラダをつけて20ユーロ以下だぞ」と多分何らかの利害関係があるレストランを紹介してくれるのだけれど、ミリオネラではない私にそんな予算はない。誰が「クウェート」でレストランに入るものか!

「自分は売店で何か買うね」とグループを離れ、スーパーでパンと水、そしてチキンを買い、公園で食べる。総額2€。よしよし。しかし自分、コトル→ブドヴァと立て続けにスーパーに来てるな。

ブドヴァは富裕層の多いリゾート地だけあり、10km以上にわたるビーチにヨットハーバー、そしてクラブなどのナイトライフが大変充実している。が、公園でパンをかじるような日帰り旅行者にはビーチもヨットもクラブもあったもんじゃない。見学するべきはコトル同様城塞で囲われた旧市街だ。

ドブロブニクに着いてから、コトル、そしてここブドヴァと、私は連日で城壁都市の旧市街を見学していることになる。さすがに3ヶ所目にもなると、ぶっちゃけ「城壁都市だぁ!!」とはしゃぐ気持ちはあまり残っていない。

更にここブドヴァの城壁で囲まれた旧市街は、上の三つの中では最小規模でもある。規模の大きなドブロブニクや背後に山の要塞を控えたコトルと比べると、こぢんまり、という印象もないではない。まぁとりあえず中をのぞいてみよう。

ブドヴァの歴史は長く、紀元前5世紀にはその存在が記録されており、アドリア海沿岸最古の街だったという説もある。更にはギリシャ神話に登場する「フェニキアのテュロス王アゲーノールとテーレパッサの子」カドモスがギリシャからこの地に逃げた、という話もある。まぁギリシャ神話の舞台になるほど歴史が深い、ということだな。

アドリア海沿岸の他の都市同様ブドヴァもいくつかの国家の支配下にあったが、城壁で囲まれた旧市街の建物は、コトル同様ベネチア共和国時代の物だ。ドアや窓など、見る人が見ればベネチア共和国のローマ様式だと分かるらしい。もちろん私には何も分からない。

旧市街最大の見所は、7世紀に作られ15世紀に再建された聖イヴァン教会だろう。カトリックの教会で、鐘楼は19世紀のものなのだそうだ。

もちろん正教会だってある。聖イヴァン教会のすぐ隣には、1804年に建設された正教会の至聖三者教会がある。カトリックと正教会が狭い中に並ぶのは同じベネチア共和国下で栄えたコトルと同じだ。更に、塔ではなく壁面上部に三つの鐘があるのも、コトルの聖ルカ教会と同じデザインとなっている。「至聖三者」とかもちろん「三位一体」のこと (Holy Trinity) 、鐘が三つあるのもそのためなのかもしれない。ここでは内部の撮影ができた。


そのもう一つ隣の海沿いには、聖マリア教会がある。ベネディクト会修道院によって建てたれたとあったから、カトリックの教会になる。9世紀(840年)からあるとあったけれど、その後改築されたのかどうかは分からない。ただ、他の教会に比べて古く質素な印象の建物で、それがかえって良かったりもする。

博物館もあったけれど、入場料は3.5€。周辺の出土品や伝統的な衣装が展示されている、とのことなのだけれど、あまり関心が湧かなかったのでスルー。

むしろブドヴァの旧市街では、城壁や要塞そのものと迷子歩きの方が楽しいと思うのだ。



旧市街の隣にはヨットハーバーと公園がある。さすが富裕層が多く住む「モンテネグロのクエート」だけれど、私はヨットやボートに全く関心がない。


ただ、ヨットのガススタンドを生まれて初めて見たのは収穫だった。こんなの普通に日本の漁港にもあるのかな?


この後、ツアーはブドヴァの街に別れを告げドブロブニクに戻るのだが、もう一つだけアトラクションが残されている。コトル湾のフェリーだ。


ヨーロッパ最南端のフィヨルド(本当はリアス式海岸)が続くコトル湾は、狭い水路と広い湾が二重になっており、最も狭い水路の幅は僅か数百m、その最も狭いエリアを挟むレベティン(lepetan)とカメナリ(Kamenari)の二つの街はフェリーでむずばれており、ぐるっと海沿いを行くと43km以上の距離になるルートをわずか10分で結ぶ。

ツアー客は特にフェリー代を支払わない。車の運賃に含まれているから、ではない。もともと歩行者は無料なのだ。じゃぁ車の運賃はと言うと4.5€。時刻表的には、夏は「満員になったらすぐ出発」、冬も深夜以外は「満員、あるいは15分毎に出港」という、なんとも頻繁な運行だ。冬の深夜から早朝だって1時間おきに走る。地元の生活路線、なのだな。

僅か10分のクルーズだけれど、夕暮れのコトル湾を船で行くのは大変に気持ちがいい。これも路線バスでは楽しめないツアーの特権だな。ドブロブニクからモンテネグロ/コトル湾に行くには、絶対にバスよりツアーが正解だ。


車はモンテネグロからクロアチアに走る。

運転手が言うには、「夏の繁忙期だと国境を越えるのに2-3時間かかることもある」のだそうだ。急速にリゾート地として発展したブドヴァは道路が計画的に整備されておらず、ブドヴァからドブロブニクまで5時間以上かかったこともあるらしい。12月のクリスマス休暇であるこの時期は、フェリーを下りてからドブロブニクまで1時間強しかかからなかった気がする。

更に運転手は「右側の山の村は昔戦場だった」とも言った。「村が襲われた」という言い方もしたけれど、モンテネグロだかクロアチアだか微妙なエリアの山を指していたので、どちらの村がどの勢力に襲われたのかが今ひとつ分からなかったけれど、よそ者がそれを質問するのは気が引けた。


車からドブロブニクの街が見え始めた頃、日はとっぷりと沈んでいた。良い1日だった。繰り返しになるけれど、ドブロブニクからコトルに行くのなら、絶対にバスよりツアーがお勧めだ。

更に言うのなら、コトル湾もドブロブニクも、夏のバカンスシーズンではなく現地では閑散期である冬に行くのが正解だ。宿は安いし観光地は混雑しないし、モンテネグロへ行っても渋滞に悩ませられることもない。冬は日が短いのが玉に瑕だけれど、夜景の美しい街ならそれもまた良い。


冬のアドリア海、お勧めです。

コトル湾フェリー

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