2019オーストリア② 様々な音楽が聴けるウィーンのジルベスターで、ファンクやクラシックなどを聴いてとても幸福になった件
2022/10/03
ブログの更新が滞っていましたが、元気です。
ただこのご時世、思うように旅行はできず、冬にアルバニアやコソボなどに行ってからはずっと国内にいます。この間国際線は10フライト程度の予約がありましたが、全て返金、あるいは日程変更の処理をしました。
根がチキンな上、新型コロナによる重慶封鎖の現地報道ををリアルタイムで見てしまったため、その地理的なリスクを調べた結果をここに貼り付けたりもするなど新型コロナにはかなり過敏だったのですが、そこは私のStay Home能力にも限界があったのか、「まずは国内」と車やバイクでgotoトラベルキャンペーンをぽちぽち利用する程度にはなりました。仕事も少し時間にも余裕が出始めたので、ぽつぽつブログも更新して行こうと思います。
今後ともよろしくお願いします。
---
ウィーンの大晦日と言えば、まずウィーンフィルのニューイヤーコンサートが頭に浮かぶ。
実際には大晦日だけではなく、12/30、31、そして1/1の3日間連続で行われるコンサートで、正確には12/30-31のものは「ジルベスターコンサート」、そして1/1のものは「ニューイヤーコンサート」と呼ばれる。まぁ、そのまんま、だな。
1870年に作られたウィーン楽友協会の大ホールである伝統の「黄金のホール」"Großer Musikvereinssaal" で、団員が指揮者を選び、そして伝統としてアンコールの最後の2曲が「美しく青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」となっているこの伝統のコンサートは大変に魅力的なのだが、入手が難しいチケットはその価格も高価で、しかも機内持ち込みの荷物しか持たない私は着ていく服がないし、お高い貸衣装なんか借りる予算もない。
(オペレッタ「こうもり」は、ウィーン国立劇場前の大スクリーンにも映し出されている)
ウィーンフィルのジルベスターコンサート以外にも、例えばウィーン国立劇場で上演されるヨハンシュトラウスのオペレッタ「こうもり」とか、ホーフブルク王宮のジルベスター舞踏会とか、大晦日の大イベントは少なくない。少なくないのだけれど、そのチケットは安くない。安くないというより、高い。
そして、正装をレンタルして高いチケットを買う意思のない人は、旧市街で行われる無料のイベントを見学するしかない。無料イベントはDJのブースから小規模なオーケストラまで、14ヶ所の会場で行われている。
宿で少し休憩し、スーパーのお寿司で夕飯を済ませてから、地下鉄で旧市街へ。私は17.1€もした公共交通機関72時間チケットを、元を取るために積極的に利用しなければならない。
うむ、この発想が貧しいよなぁ。
旧市街で行われる14のイベントを全て見聞きすることは不可能なので、生演奏の会場を回ることにする。DJや打ち込み系の音楽をうけいれられない訳ではないのだけれど、やっぱりおじさんは人間が生身で楽器を演奏する姿が好きだ。と言うわけで、まずは会場番号①のウィーン市庁舎前特設広場に向かう。
会場番号①だけあってここには規模の大きめなPAが用意され、バンドの演奏が行われる。私はブラスセクションの入ったジャズファンクバンドの生演奏を聞いた。自分がやっている音楽に近いし好みなのでチェックしていたのだけれど、さすが音楽の都ウィーンのジルベスターでメインステージに出るだけあって、派手ではないけれどなかなか巧い。いいなぁ、私もこれくらいの規模のステージに1回立ってみたかったなぁ…、いや、それ以前に3本揃ったホーンセクションと一緒に、もっと演奏したかったなぁ…。うちいつも管足りなかったし。
小一時間ジャズ/ファンクを楽しんだ後、案内地図に従って会場番号順に歩く。「楽しそうな演奏があれば聞いてやろうじゃないの」的スタンスだ。
これはどうやら占い師のブースのようだ。オフィシャルなイベントという訳ではなさそうだな。
市庁舎前広場に次いで規模の大きなステージは、シュテファン大聖堂前のものだろう。旧市街の中では比較的広めの広場なのだけれど、そこはやっぱり旧市街、市庁舎前程のスペースはない。ステージもPAも若干こじんまりとはしているのだけれど、ここななんと言ってもロケーションが良い。基本はこんな感じのステージなのだけれど、
ちょっと後ろから見ると、ライトアップされたシュテファン大聖堂前にスクリーン、そしてステージとまさにィーンのジルベスターでございます」的が広がる。
このステージでは、ロックやジャズ、ローカル音楽、そしてクラシックの演奏が交互に行われる。様々なジャンルの音楽が一つのステージで演奏されるのが良いねぇ。
クラシックの演奏は室内オーケストラ以下、いや、室内楽の規模だけれど、それでも必要な音は出せていて、これを路上で立ち聞きできるのはとても楽しい。さすが音楽の都だ。会場が会場なので、演奏者の前にはマイクが立っていて、音はPA越しに聞こえるのがかえって新鮮でもある。
オケが「美しく青きドナウ」の演奏を始めると会場が沸く。大晦日のウィーンだからなのだろうな、と思っていたら、隣に立っていたおばあちゃんがいきなり私の腕を取る。どうやら、一緒に踊ろう、ということらしい。
いや、私、ダンスってできないんです…、これ、ドイツ語でなんて言うんだろう、などと考えているうちに腕は既に組まれていて、私は持てる限りのダンスについての記憶を絞り出して、不器用におばあちゃんとワルツを踊ることになった。おばあちゃんはそんな不器用な私の腕を持って、踊り方を伝えてくれようとする。ああ、こんなことならワルツの基礎の基礎くらいは知っておけばよかった。
ダンスは苦手だ。でも、今は少し楽しい。もしかして、生涯最初で最後のダンスかもしれない。
この12時になって年が変われば、花火が上がりダンスが始まるのだろう。それを見るのも魅力的なのだけれど、夕方から立ちっぱなしで音楽を聴いて慣れないダンスまで踊って、私にはここで年越しをする体力は残っていなかった。地下鉄は元日の早朝まで運転されるとのことだったけれど、そろそろ宿に引き上げることにしよう。
今まで何回かヨーロッパで年越しをしたけれど、ウィーンのニューイヤーイブは一番楽しかった。人混みのレベルもそこそこで歩きにくいこともないし、音楽の演奏の質も高いし、夜の街も美しい。オペレッタ「こうもり」が見られなくとも、ニューイヤーイブコンサートに着ていく服がなくっても、がんばって朝イチのバスでザグレブを出て良かった、だ。
ウィーンの大晦日