旅メモ 2017.9.30 東京拘置所の「矯正展」を見てきた件 ③
東京拘置所の矯正展は、屋外での展示販売が主な企画になるけれど、イベントだってある。
メインステージは大きくはないけれど、地元の中学生の吹奏楽から警察権の模擬訓練など、それなりに楽しめる企画が続く。収容者にも音は届くのだろうぁ。
メインステージのイベントも楽しいけれど、運動場北にある小さな建物で行われている企画展示も忘れてはならない。規模は大きくないけれど、こここそ、東京拘置所を紹介するメインの企画展示なのだ。
建物を入ってすぐ目に入るのが、拘置所と収容部屋の模型だ。ふーむ、拘置所の中はこうなってるんだねぇ。こういうのを見るといつも思うのだけれど、もし自分が収容されることになったら、単独室と共同室、どちらが良いのだろう。基本的には一人は嫌いじゃないのだけれど、ずっと話し相手がいないのも辛そうだし、悩む。あ、入らないのが一番いいのか。
反対側には受刑者/収容者による作品も展示されている。
「家族」「改心」などの言葉が、ここでは妙に重くなる。が、もっと重いのは下の仏画や写経だ。日本には死刑制度があり、東京拘置所には全国に125名いる死刑囚のうち68名が収容されていると聞く(2017.1現在)。写経や仏画にはイニシャルしか描かれていないけれど、どんな人がどんな想いでこれを描いたのか、考え始めると複雑な気持ちになる。
更にその奥では、家庭用のテレビが拘置所の紹介ビデオを流している。地味な展示だけれど10数人の人が熱心にビデオに見入っている。多分この人達と私は気が合うのだろうと思う。
隣室では「性格検査体験」が行われていたので、参加してみた。
もちろん刑事施設で行われる性格検査なので、基本的には犯罪傾向等を調べるための物なのだろう。また、多分実際に東京拘置所で使われている性格検査なのだろう、例え小学校1年生レベルでも、全ての漢字にふりがながふられているのが、なんともやるせない。
「思い通りにならないと頭にくる」なんて質問に「はい」と答える人は、いったいどんな人なんだろうとすら思うのだけれど、そう答えてしまう人たちが刑務所に入ってくる、という現実もあるのだろうな。
ちなみに私の検査結果がこれ。
良かったぁ。温和って言ってもらえてよかったぁ。東京拘置所なんかで「危険人物」判定を下されたら、そのまま出てこれないかもしれないじゃないか!ただ、「アピールすることも大切です」は、自分にはいいや。ちゃんと好きなことはやっているし、好奇心を満たす日々を送ろうとがんばっているから、他者の評価ってどうでもいいんだよねー。
それはさておき、性格検査に興味がないという人も、この部屋の中にしかないパネル展示もあるので、時間があれは中をのぞいて損はないと思う。
またこの建物では、噺家さんの落語が聞けた。
2002年より東京拘置所の篤志面接委員をなさっている、古今亭菊千代さんという女性真打さんの噺だ。古今亭圓菊の7番弟子で、師匠に連れられ刑務所慰問を重ね、篤志面接委員になったらしい。場所柄というかイベント柄、刑務所絡みの話が多めで、この日の噺だった初天神は凧を買う前に噺を終えてしまったけれど、拘置所の施設で落語を聞く、というのはなかなか面白い体験だった。
さらっと眺めても1時間、イベントを見れば2-3時間、本気で買い物をすれば半日があっという間に過ぎてしまう東京拘置所の矯正展は、毎年9月末あたりに行われる。正確な日程は、法務省・矯正局のサイトを見るのが一番良い。ここでは、東京拘置所のみならず、他の刑務所の矯正展情報もあったりする。矯正展の案内は、あまりアナウンスされないケースもあるので、情報収集力が大事になる。
と、ここまで呼んでくださった方にプレゼント。11月には千葉刑務所で矯正展がありますぜ!。すごく良い靴が安く買えますぜ!