・2006 中国雲南省 17日間
この記録は、書き方も文体も今までと全く違います。
私的に旅行日記として少しずつ書いたものをまとめたためです。
おかしな書き方も目立ちますが、ご容赦ください。
17 「こどもの遊び場」
こどもなんぞ、その辺の水たまりに石を放り込んで、鼻水を袖でこすりながら「わーい、わーい!」と言ってれば良い、と思わないでもない。
大体、どこでも何でも遊べるから子どもなのだ。石があれば拾って、虫がいれば触って、PCがあればリセットスイッチを押して、こどもはいつでも何かを見つけてはろくでもないことをする。それが面白いようだし自分もそうだった。
観光施設だって立派な遊び場だ。博物館だって寺院だって子どもはけっこうはしゃいで遊んでいる。大人の観光につきあわせているのは事実だけれど、子どもだってそれなりにどこでも楽しんでいる。(ト,オモウ…)
といいつつも、ついうっかり子どもを作って16年、旅先での子どもの遊び場に敏感になってしまったことも事実だ。ショッピングセンターに行けば遊具の有無を確認する。移動遊園地を見つければタクシーで駆けつける。体をあまり動かせなかったと思えばマクドナルドに入り飲みたくもないコーヒーを飲みつつ遊具に突入させる。etc..
雲南にも子どもの遊び場は結構あった。
こういう施設があると、その間大人は少し休憩ができる。そういう意味でもなかなかありがたい。
写真は左から麗江・水車側のKFC(顧客無料)、大理・四方街近くの移動型エアートランポリン(3元)、昆明・人民東路北ウォルマートのボールプール(10元)。
他にも昆明にはサクラデパート5階(無料)、昆明動物園中央入り口脇、動物園内などに大型遊具があった。コインを入れて乗るタイプの遊具なら、少し大きな街になら結構あるけれど、体を動かすタイプの大型遊具は結構貴重な存在かな?
18 「全聚コ」
「おあいにくさま。中には赤身の方が好きだっていう人もいるんですよ」
うろ覚えだが、パールバックの「大地」で誰かが言っていた台詞だ。印象に残っていて妙に頭を離れない。だって、肉って赤身の方がおいしいでしょ?脂肪はあくまで筋肉に香りをつけるもの。わたしゃ脂身が苦手なのだ。脂身をかじるなんて気持ち悪いわい!
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中国へ行くと言うと「本場の中華料理が食べられて良いですね」的なことを言われる。まぁ間違いはではない。現地なのだから本場の中華料理ではある。ただ私はこの「本場の中華料理」があまり好きではない。なんせ脂身の国だものな。
日本で食べる中華料理はうまい。もちろん日本人好みに味を調整しているからでもあるけれど、本場の味を再現した店で食べてもうまい。さすが中国4000年(本当か?)と素直に思う。
香港で食べる中華もうまい。コースをオーダーすると中には少し理解が厳しい品もあるけれど、それでもうまい。結構割高なことも多いけれど大抵は食べに来て良かったと思う。
北米で食べる中華もうまい。ケチャップ味$1中華は別として、普通の店ならば失望することはあまりない。特にバンクーバーやカリフォルニア、ニューヨークは中華料理の水準そのものがかなり高いと思う。'PANDA KING'の夕食はロサンゼルスでの恒例行事だ。
まだまだ「インドでも」とか「シンガポールでも」とかきりがなく続くのでいい加減に止めるが、一般に中国本土以外で食べる中華料理はうまい。
本場でなければ、うまい。
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ところが本場になるとどうも様子が違う。しかもどうやら脂身だけの問題ではない。
例えば同じ広東料理でも、香港から広州に入るといきなり味が落ちる。魚介類の臭いがきつい。蝦餃の皮がぷりぷりしていない。スープが水っぽい。肉が筋っぽい。なにより、基本的な味付けが、なんだかこう2段落ちる。広州は中国でもかなり食べ物のおいしい場所だけれど、それでもこの有り様だ。
原因の一つは分かっている。我が家に金を多く払う気がないことだ。我々は中国以外ではそこそこの料金を支払っている。そんなにたくさんは出せないけれど、まぁ、普通の家庭が夕食に支払う相場だ。だから食材もある程度のものを食べることができる。しかし小麦や米に限らず食材には国際市場価格があり、多少は各国内で調整できるものの、1円支払って1000円の価値のものを買えるほどは甘くない。安くてうまい物がないとは言わないが、金を出さないとうまい物にありつく確立が下がるのは事実。香港から広州に入って感じる味の差の大部分は多分このせいだ。金をもっと出せばもう少しうまい物も食べられるのだろう。
しかし我が家の場合、食事の出費相場が中国ではやたらと低くなる。別に現地の生活に溶け込もうとか、庶民の味を知ろうとか思っている訳ではない。できたら毎晩豪勢な物を食べて幸せに暮らしたい。でも、周りの人が10元で食事をしているのにうちだけ100元出すなんて、なんだか悔しいじゃないか!
更には、中国の食事に対する雑駁な考えも少なからずあると思う。例えばタイでは安くてもおいしい物が結構ある。どうすれば食材をおいしくできるのか常に意識している、タイ人の食材の扱いにはそんな印象を受ける。
でも中国の場合、なんだか雑だ。いい加減なのだ。誰も言わないから私が言ってやる。 中国には「腹がいっぱいになればいいではないか」的な発想が絶対にある! 更に言えば、多少は誤解もあるとは思うが、「満腹になるための食事」と「味わうための食事」の2種類が、境界線が曖昧なまま存在しているようにも思う。
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そんな中、我が家が唯一中国で多少の出費をする店がある。北京ダックの全聚コだ。そう、あの有名な全聚コ。ここで食事をすることは伊東に行ってハトヤに泊まるくらいべったべたなことだ。「何もそんな所で食べなくても、もっと安くておいしい店があるのに」とか「観光名所でしょ、あそこ」とか「所詮チェーン店」とか、山ほど有名税を背負っているあの店だ。でも、我が家は全聚コが好きなのだ。
http://www.quanjude.com.cn/yingyang/yingyang.htm
全聚コは中国の大都市にはかなりの確立で出店している。昆明にも当たり前のようにあった。なにせハトヤだものな。(笑) あ、ハトヤは伊東にしかないか。スマン。
多分店によって微妙に味も違うのだろう。しかし我々にそんな違いは分からない。アヒル1羽をみんなで食べる、それでいいのだ。1羽まるごと食べて骨をスープにしてもらって128元という価格も、他の高価な店を思えば許容範囲内だし、なによりここのアヒルは子どもたちの好物だ。目の前で切り分けてくれるので、「ああ、アヒルを1羽ぜーんぶ食べるんだ」という精神的な満足感もあって大変によろしい。 2000円だけれど、我が家の中国唯一といって良い贅沢な食事だ。
新宿にも店があるらしいけれど、多分一生行かないだろう。メニューを見るのが怖いもん。(笑)