・2006 中国雲南省 17日間
この記録は、書き方も文体も今までと全く違います。
私的に旅行日記として少しずつ書いたものをまとめたためです。
おかしな書き方も目立ちますが、ご容赦ください。
13 「下関・喜州・周城」
自堕落な大理生活に、ますます磨きがかかる。
それでも到着直後は朝8時台に起きていた。宿に朝食がついているからだ。このような場合我々は這いずってでも食べにいくのだが、なんと大理生活では朝食をキャンセルする者が出始めた。「あんな飯のためにわざわざ起きる気がしない」ということだ。
確かに中国の中級以下のホテルの朝食はまずい。味も素っ気もないと言った方が正確かもしれないな。米線(ミーシェン)を始め郷土料理も多少あるのだが、どれを取っても今ひとつぱっとしない。それにしても朝食をパスするなど、食べ物に文句の少ない我が家としては異常事態と言って良い。どうやら心底自堕落な一家と化しているようだ。このままではいけない。とりあえずどこかに出かけなければ。
などと言いつつ出かけたのが、下関、喜州、周城。どの街も何もない訳ではないが、かといって取り立てて熱心に見学するものもない地味な街だ。
下関は大理自治区の州都ということもありそこそこ大きな街で、エスカレーターのあるデパートやKFCなどもあるが、街歩き以外では博物館と湖くらいしか見るものはない。観光船もあるけれど、そういう物にはどうも関心が湧かないんだよなぁ。喜州は古い歴史を持つ白族の街だが、名物の三道茶などというものも取り立てて飲みたいとは思わず、だらだら散歩をしておしまい。良い風情だけれど。周城ではろうけつ染めの工房を見学する。それだけ。
それでも夜には菊屋でビールを飲みながら、「今日は出かけたし充実したなぁ」などど言う。ヨーロッパ3カ国6泊7日ツアーの皆さまが聞いたら、絞め殺したくなるかもしれない。でも、我が家の観光なんてこんなもんだ。(苦笑)
14 「大理発昆明行き、寝台列車」
大理での自堕落な生活も1週間が過ぎた。
このまま一生ここで暮らしても良いが、日本に帰らないと収入が途絶える。正月の3ヶ日が過ぎるのを期に昆明に移動をすることにした。
下関にある大理駅に明後日の切符を買いに行く。が、窓口のおねーちゃんは「没有」と呟きながら端末を叩き、やっぱりという顔で"No Ticket"と言う。試しに翌日の列車について聞いても答は変わらない。
中国の列車予約事情はややこしい。駅や路線に寄って何日前に予約・発券ができるのかが違う。大理-昆明路線の夜行列車は当日販売だけなのか?。昆明では大理行きのチケットは3日前に売り切れていたのに。なんなんだ?
いつ売り出すのかと聞いてみたが、どうも要領を得ない。言葉が通じないというより、わからないという感じだ。せっかく古城から40分もかけて買いに来たのになぁ。
仕方がないので古城にある旅行代理店に手配を依頼する。しかし帰ってくる返事は呑気なものだ。
「寝台なら出発の日の朝においで」
そんなもんなんだな、ここは。大理らしくていいけど。
代理店に予約を依頼すると、チケット1枚につき20元がかかる。4人1部屋の軟臥(1等寝台)で4枚、計80元の手数料だ。大理-昆明間には1日3便の寝台列車が走っているが、その中の1便には"VIP"というカテゴリがあり、1部屋が軟臥3寝台と同じ価格で売られている。2部屋依頼しても手数料は40元。これは試してもいいかもしれない。"VIP"なんて、なんとなく期待させるではないか。わくわく感が高まり2室を手配する。
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ホテルの部屋を6時まで借り、菊屋で最後の夕食を食べる。寒さのあまりスーパーで買ったハロゲン暖房機をお世話になったお礼にプレゼントしたら、あちらも子ども用にチョコレートの詰め合わせを用意してくれていた。なんだか心温まる交流になってしまったじゃないか。下の娘と仲良くなった3歳の息子さんは、車に乗り込む我々を見て泣き出してしまった。ありがと、ぼうす。いつになるか分からないけれど、また来るからな。
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駅のホームには既に列車が入っていた。よくある中国の列車と違い、この列車の寝台は2階建てになっている。寝台で2階建て… 良くない予感がする。
VIP室は2階にあった。狭い。なんだかとても狭い。下にセミダブルサイズのベッド、そしてその上にシングルサイズのベッド。足元には12インチくらいの液晶モニタがあってオンデマンド方式でいろいろな映画を映すようになっている。多少工夫はあるけどさ。でも、狭いぞ。普通の軟臥より格段に狭いではないか!
これで軟臥はどうなんだろうと下の部屋を覗きに行ったら、我々と同じ広さの部屋に2段ベッドが2台置いてあった。これ、日本の4人用個室B寝台を一回り狭くしたようだ。うーん、期待裏切られたなぁ。できたばかりのローカル路線だから、いや、中国だからしかたないか…
ところが子どもたちは妙にはしゃいでいる。「おー!」とか「すごい」とか、どうやらかなり喜んでいるようだ。よく考えたら子どもたち、寝台列車は初めてだ。上の娘は上段に陣取りMuvoで音楽を聞きくつろいでいる。下の娘は液晶モニタに人魚姫のアニメを発見し見入っている。同室の息子は「おとうさん、星が見える」だの「夜の中国は暗いね」など、10分おきに感想を述べる。初めてJALのファーストに乗った時よりうれしそうじゃないか。なるほど、これはこれで良かったのかもしれないな。
朝の6時台に昆明についてしまうのが、少しもったいなく感じてきた。少しくらい遅れていいぞ。> 列車。