最近ユースホステルから客足が遠のいているらしい。
それはそうだろう。私だってよほどの理由がなければユースなんて泊まらない。
今やユースホステルは決して安くもないし快適でもないのだ。
例えばユースホステルの中でも比較的安価とされる日本YH協会直営の宿でも、相部屋であるにも関わらず素泊まりで2940円(会員でない場合には3540円)、朝食と夕食に1680円、合わせて4620円かかる。しかも会員になるためには、新規登録で2500円、その後1年につき2000円の会費を支払わなくてはならない。
客足が遠のいてしまったためか、最近はユースゲストハウスなるものも出来た。ユースホステルより高規格な内容なのだそうだが、これがまた高い。素泊まり5000円、1泊2食で8000円は普通だ。これはもう、ペンションや民宿の価格レベルだと言って良い。
そんな中、喜多方にある会津の里ユースホステルは「安上がりに旅行をする」というユースホステル本来の姿を守っていた。最近では珍しいYHだ。
このYHは地元の酒屋さんが兼業で経営している。
宿泊を希望する人は、酒屋さんでチェックインすることになる。
会員1泊素泊まり2200円
大変に納得できる値段だ。
本来ユースホステルは、こういう価格でなければいけないのではないだろうか? ちなみに当日予約であったため食事を浸けることは出来なかった。が、もし可能であっても素泊まりにしただろう。食事なんか町で食べれば良いのだ。
部屋は簡素だが、テレビやエアコンも完備している。
また、シャワーはいつでも利用できるし、徒歩数分の場所にある公営温泉の割引券ももらえ、200円で温泉に入れる。
談話室もあるし、コーヒーやお茶は自由に飲める
場所代を既に支払っているのに「特製コーヒー」とやらを宿の中で300円で売ろうとするユースとは対照的だ。
ユースホステルはこれで良い。
会津の里ユースホステルは、安価に清潔で快適な一夜の宿を提供してくれる。2200円という金額は、ユースホステルの精神に大変かなっていると思う。
確かにユースホステルも商売だ。
赤字が出ては宿そのものの経営も成り行かない。会津の里湯^素ホステルは、酒屋との兼業であるから宿泊費を抑えることができているのかもしれない。
しかし一時期流行り廃れたペンション路線を追いかけるようなユースホステルは、よほどの観光地にでもない限りやがて滅んでいくだろう。
海外ではまだユースホステルは安くて快適な事も多い。
しかし日本のユースホステルの多くにはもう魅力はない。実際、ユースホステルはどんどんその数を減らし、替わりにゲストハウスなどが増えてきている。ゲストハウスの方が「安くて快適な旅」をサポートしてくれているからだ。それに、ぐっすり眠りたいなら、むしろビジネスホテルの方がコストパフォーマンスは高い。
これからユースホステルが生き残るには、この会津の里ユースホステルを一つの手本としても良いように思う。
実際、このユースはライダーの間では評判で、東北地方で人気第1位になったこともあるのだ。ライダーは、コストパフォーマンスにシビアであるし、この評価は会津の里の本質的な魅力を評価していると感じる。