2006 北タイドライブ (Nasu 4歳)
12 「首長族」の村 "MAE FAH LUANG"」
メーホンソンで「首長族」の集落は、貴重な観光資源だ。
だから、道路のあちらこちらに "Long Neck Karen" と書かれたこんな標識がある。集落は1箇所ではないのだけれど、どこの集落へ通じる道にもこの標識はあった。こうなるともう「止まれ」の標識に近い標準仕様に思える。
我が家が向かったのは、MAE FAH LUANG というこの周辺では多分最大の集落だ。あるいは、最も観光化された集落、なのかもしれない。どのトレッキングツアーも、この集落を一番大きく取り上げている。しかし集落の中にはカレン族のための学校もあるので、少なくとも観光専用集落、という訳でもなさそうだ。
入り口で「入場料」1人250バーツを払う。大変に高い。
この集落のカレン族はビルマからの難民であり、入り口には地雷廃絶運動のポスターなども貼ってある。ここの収入はビルマ反政府軍の資金源になっているという「噂」もある。なんだかんだ言って、やはり国境地帯というのはいろいろあるのだ。
250バーツという法外な「入場料」は、観光客に「払うものは払ったのだから」という権利意識を発生させる効果もある。次女を除き4人分1000バーツを支払った我々は「払ったからには回収させていただきましょう」と写真を撮りまくる。
普通、観光客はこういう生活エリアであまり堂々と写真は撮らない。撮る時も「申し訳ないのだけれど撮らせていただけますか」と気を使う。他人の生活エリアに侵入してきたよそ者なのだから当然だ。しかし高価な入場料は十分な免罪符だ。
しかし向こうも然る者。写真撮影攻撃くらいでは全くひるまない。むしろ協力的だ。自分たちの存在が入場料収入に結びついているという意識が明確に感じられる。態度が「見られるプロ」なのだ。土産物屋を兼ねてる家も多く、客寄せにもなるのだろう。
次女が10歳ほどのカレン族の少女に声をかけられる。ここに座れ、と言われているようだ。椅子に座った次女に、その少女はカレン族の民族衣装を手際よく着せ、並んで座り、写真を撮れという。プロの仕事だ。
我々は一応20B程お礼を渡したが、記念撮影をさせてもらってお金を渡さなくとも、特に文句は言わないようだ。しかし、渡されれば礼を言って受け取る。まさしくプロだ。
珍獣のような目で見られ撮影されることで収入を得ること、そして自分がお金を支払うことに、若干の抵抗がなかった訳ではない。しかしそれはヨソ者の甘っちょろい感傷だった。彼女たちはプロとして、生活のために、そして郷土のために収入を得ている。そのお金は村の子どもを病気から救ったり、教育を受けさせたりする資金にもなるのだろう。
旅行者としては「そうなんだ」と、素直にその地のルールに従うしかない。その代わりまるで集落の人を珍獣扱いするかのように撮影する輩の存在や振る舞いも黙認されているんだろうなぁ。
感想: 人の暮らしも想いも「いろいろ」なのだな。