2006 北タイドライブ (Nasu 4歳)
8 「峠を走る ピサヌローク 〜 パーイ」
負け犬一家は車を北に走らせる。
素直にスコータイから大きな道を北上すればよいのだけれど、近くにタイ最高峰のある国立公園があったので、わざわざ遠回りをして走る。なんだかんだで、チェンマイに着いたのが夕方5時頃になってしまった。
時間的にここで宿を取るのも良い。しかし我々の日程は限られている。いつでもバンコクに戻れるチェンマイより、もう少し遠いメーホンソンまでできるだけ近づいておきたい。審判団による協議の結果、「今日中にメーホンソンに着いてしまおう」ということになる。
ちなみにチェンマイ - メーホンソンのバスの所要時間は約7時間。無謀と言えば無謀なのだけれど、あっちはバス、こっちは小型乗用車。バスが7時間なら乗用車なら5時間以内で着くだろう、との読みもあった。
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車はチェンマイを抜け、107号線から1095線に入る。市内では多少の渋滞もあったが、快適なドライブだ。メーホンソンまで200キロと少し。渋滞なしなら、平均速度80-100キロ程で走ることができる。これなら楽勝だと思われる。
と、思いきや1095線に入って10キロ程度走ると、いきなり道が細くなる。片側1車線の狭い道。そこはタイ、一応舗装はしてはあるけれど、100キロで走れるような道ではない。これは、予測よりメーホンソン到着が遅くなるかも…
などと考えていると、今度は道路は峠に入った。そのカーブはどこへ出しても恥ずかしくないヘアピンカーブで、乗用車でありながらギアをローに落とさなければならないほど。時速は10キロも出せない。えらい山道だ、これ。
まぁタイ人には「地の果て」的なニュアンスをもつメーホンソン。それは峠くらい通るだろう。ここはひとつゆっくり安全に走って飛ばせるところは飛ばそう、無理は禁物、などと思っていたのだが、スピードを出せる場所がほとんどない。
峠を登る、尾根に出る、峠を下りる、2キロほど平地、そして次の峠を登る。この繰り返しが始まった。平均時速は20キロ前後ではないだろうか。しかもカーブが多く、スピードを出せそうな道でも道の先を知らない者にはアクセルが踏みにくい。途中、バスに追い越される。
ああ、バスにすら負けそうだよぉ!(´Д⊂
それやこれやで山道を走って2時間ほど、ついに長女がギブアップ宣言をした。長女は車に酔いやすい。かなり気をつかって走ったつもりだが、カーブの連続に耐えられなかったようだ。「これ以上車に乗っているのは無理」とのことなので、次の街、パーイで一泊することにする。
パーイは一時期バックパッカーの沈没地として有名だった街だが、今は以前ほど誉れは高くない。しかし、先人達が開拓した居心地の良い宿や安くてそこそこ快適なレストランなど、沈没地特有の施設は整っている。
胃袋を吐瀉物でいっぱいにした長女を乗せながら何軒か宿をあたるが、値段と設備、ロケーションの最も良い宿は、一番有名なチャーリーハウスだった。ガイドブックに間違いがあると腹が立つが、ガイドブックに書いてあることがそのままなのもなんとなく悔しいな。
http://www.tripadvisor.com/Hotels-g303916-c2-Pai-Hotels.html
(自前のサイトはないようです)
ここはホテルではなく、ゲストハウス。レストランを併設したレセプションの奥は中庭が広がり、その中に何種類かの部屋がある。安い部屋もあるが、我が家はエアコン、ホットシャワー、テレビ付きの一番高い部屋を2部屋もとってしまう。って、1泊600バーツだけれど。
この部屋はそこそこに広く、また中庭に面した小さなテラスもあり、なかなか居心地がよい。
パーイの街は狭い。大抵のことはチャーリーハウスから徒歩数分以内の場所で済ませることができる。長女の吐き気も収まり、夕飯のために街に行こうと宿を出ようとすると、併設のレストランでは「焼きしゃぶ食べ放題」をやっていた。
この「焼きしゃぶ食べ放題」は、タイ好きならみんな知っている大同門という店そのままのシステム。中央でバーベキュー、周辺でしゃぶしゃぶができるという怪しい鍋で、自分の好きな物を焼いたり煮たりして食べ放題、しかもそれが店や時間帯によっては80バーツからという、タイ庶民や貧乏旅行者の絶大な支持を受けているチェーン店だ。
http://daidomon.co.th/
アイスクリームやガーリックライス類などはなく、メニュー数は少ないが、このシステムだと自分の好きな物だけを食べることができる。値段を聞くと食べ放題1人99B。食材もそこそこ豊富だし果物があるのも気に入り、ここで夕飯にする。あれほど「気分が悪い」と言っていた長女がぱくぱく食べている。頼もしいぞ、長女。
ここで体を休めて英気を養ったら、明日こそメーホンソンだ!